3.《ネタバレ》 若いうちからチヤホヤされると、自分を見失うのも当然です。そしてオーラを背にした孤高な存在になればなるほど、周囲は恐れて敬遠し始めます。自分に声をかけるのはそれに対抗する自信家か、はたまた鈍感な人達に淘汰され、そんな連中に欲求を満たせるはずもなく、愛の対象を俗世間と離れた何かに求めるしかありません。さらに孤独は深まり、酒や薬の上でかろうじて生き続ける時、すべてを捧げた恋人を失うと、そりゃ瞬く間に崩れるわなぁ。やがて年齢を重ね、外見的な輝きにさえ陰りが見え始めると、唯一の支えだった自尊心まで失っていく…それを象徴させたパリのシーンは、この映画の最たる芸術美だったと思います。その時本人は夢遊状態ながらもしっかり自覚していました…いよいよ手元のカードが無くなったことを…。ボロボロになった彼女が母親の手に収まる最期のシーンは、思わず目を覆いましたが、それは世界中を席巻したスーパーモデルも、結局は人の子だったことが如実に現れていたと思います。こんな苦しみは、しかし一部の天才に与えられた宿命、いや、特権かも知れません。良くも悪くも(?)この映画に共感できた方々、程度の違いこそあれ、もしかしたら昔ヒーローじゃなかった? 自分を保ち、「正常な」世間に打ち勝っていくために、これからも自分を磨き続けて必死に頑張りたいものです。