1.江戸川乱歩はミステリー作家ではなく耽美小説作家である。パズラーではなくスリラーである。後年の少年探偵団のような子供向け冒険活劇とは異なり、「孤島の鬼」や「パノラマ島奇談」に代表されるような長編小説、そして「押絵と旅する男」のような短編小説の類いは、昭和初期のノスタルジアと人間の奥底に潜む怪しい本能を堪能するもので、子供が見るようなものじゃないのだ。そういった意味ではこの実相寺監督の「屋根裏~」と「D坂の~」は、原作の精神をもっとも忠実に表現したものと言える。こんなエッチな映画、テレビシリーズにゃできないですもんね。DVDやビデオ探しまくっているが、おそらく発売されていないんでしょ。また池袋の新文芸座でかかるのを待つしかないですか。