12.3人の女性を中心とした、宿命にも似た異なる時代の1日を描いた人間ドラマ。それぞれのストーリーを途切れなく、過不足無く、くどくなく描くその様は美しく、鮮やかで、また詩的だが、しかし残酷である。その映像美と残酷さのコントラストにまず、舌を巻いた。たとえ例えば同性愛が許容される時代であっても、人生は表層的な自己満足の連続に過ぎない。そのことを悟り、自分の為ではなく、生死を超えて本当に自分らしくあることを望むとき、過酷な選択が待ち受ける。ヴァージニアやローラやリチャードの選択を自己中心的であると責めるのはたやすい。しかし、この映画を見終わってカタルシスにも似た感覚を覚えるのは、彼らの選択に誰しもが心に秘める部分があるからではないか。ジュリアのようにローラを抱きしめてあげたいと思ったのは、僕だけではないはずだ。逆に言えば、静寂を覆い隠す為にパーティーを繰り返すダロウェイ夫人にも、誰もが自分自身を投影する部分があるだろう。そして、意識的であれ無意識的であれ、誰かを”殺している”のかもしれない。ストーリーや演技は言うまでもないだろうが、それを支える演出、音楽の完璧さ(確かに音楽はややでしゃばり感が否めないが、それによって醸し出されている統一感は特筆すべきだろう)。この映画の見事さには、溜め息が出た。文句なしの満点。 |
11.言葉ではとても表現できない、感動とは違う何か特別な感情が湧き上がってくる。この作品を見た後の自分の素直な気持ちは、こう言ったところだろうか。これほど濃密なドラマを見たのは久しぶりの感がある。オムニバスともフラッシュバックとも違う、三つの異なった時代を生きる女性たちを交互に描いていく演出方法は、斬新で極めて効果的でもある。本作の彼女たちは何らかの形でリンクしていて、人生そのものが謎めいているという共通項をも併せ持っている。そして、ありのままに生きようとする彼女たちを通して、愛することとは何か。本当の幸せとはいったい何なのか。そして生きていくとはどういう事かといった、人間の根源的な在り様を問いかけてくる。壮絶な生き様を見せつけたE・ハリスの凄味は言わずもがな。さすがに名女優たちの演技も三者三様で上手いが、とりわけJ・ムーアは、個人的には今まであまり買っていなかった女優さんだっただけに、彼女の素晴らしさには目から鱗の思いだ。さらに、心の揺れ動きを要求する演技者に対しては勿論のこと、部屋の隅々にまでも計算され尽くしたS・ダルドリー監督の演出は、品格さえ漂わせて見事と言うしかない。(彼の手に懸かれば、卵さえ演技するのだ!)そして、ヒアリングのお手本になるような英語のセリフの明瞭な美しさは、特筆に価することも付け加えておきたい。 【ドラえもん】さん 10点(2003-05-23 00:22:25) (良:2票) |
10.この映画は“感じる”映画だと思った。 登場する三人の女性達はみな、喪失感と虚無感にとらわれ苦しんでいる。彼女達にとって、生きることそのものが苦痛なのだが、そこまで追い込まれた理由について作品の中では詳しく述べられてはいない。 ただ“ある1日の出来事”が淡々と、同時にもの苦しい程濃縮された時間として描かれている。そこでは、生きること=苦しみという前提が容赦なく私たちに突きつけられてくる。 朝目覚め、花を買い、忍び寄る死の影を身近に感じる。 彼女達の苦しみの中に自らの不安、苦しさ、疑問を見出した時。 私たちは4人目の登場人物となる。それがこの作品を良いと思うかそうでないかの、境界線になるのだと思う。 【narasuke】さん 10点(2004-05-10 16:19:50) (良:1票) |
9.《ネタバレ》 映画でありながら、映画を超えていると思う。色々な感情が沸き上がってくるのだ。特にジュリアン・ムーアが素晴らしい。異なる時間の3人が見事に交差し、最後に2人が同じ時間に対面するシーンでは、不思議な感動を覚えた。ジュリアン・ムーアとメリル・ストリープが交互にアップになって語り合う場面が忘れられない。全編を通じて、映像がとても美しい。そして音楽も印象深い。今回2度目だったが、また観ると思う。監督も言っていたが、観るたびに何かを感じるような気がする・・・私はこの映画に心を動かされる人が好きだ。 【ブタノケ2】さん [DVD(字幕)] 10点(2009-04-20 02:46:18) |
8.この心境を理解できる人でないとまったく理解できない作品。 理解できれば秀作。経験がなければ超駄作。 後世に残るべき作品。 鼻はどうでもいい。 【馬】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2008-09-21 17:21:57) |
【ネフェルタリ】さん 10点(2004-08-07 00:44:40) |
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【たこら】さん 10点(2004-06-24 06:44:07) |
【太郎】さん 10点(2004-06-02 15:37:16) |
4.この作品が描き出すテーマは人間にとって物凄く深遠であり、同時に極めて身近なものである。それはすなわち「欲望」、人間として本質的なそれである。多くの人間、いやすべての人間が欲望を消化するために生き、欲望を抑えながら生きている。ほとんどの場合、欲望を抑えて生きている人が多いのが現状かもしれない。この映画で描かれる3人の女性像、彼女たちの生き様は欲望に対する狂おしいまでの自分自身の解放によるものだったと言える。欲望のままに生きることができればどんなに幸福だろうと、多くの人は思う。しかし、欲望に対し自分を解放することは、これほどまでに苦しく、エネルギーが必要だということを今作は訴えかけてくる。時間軸の異なる3人の女性のある一日の人生をひとつの時間枠に捉えることに成功した脚本が見事の一言に尽きる。 【鉄腕麗人】さん 10点(2004-01-30 21:50:48) |
3.いつの時代も女は深く、男は繊細。女優達への賞賛はもちろん、エド・ハリス、ジョン・C・ライリー、そしてスタッフみなさんに拍手を贈りたい。 【tomomi】さん 10点(2003-10-22 10:12:05) |
2.最高です!!何度も見たい!!そう思い、続けて見に行きました!DVD早く出て欲しいです! 【どらやき】さん 10点(2003-06-05 21:44:57) |
1.私の生い立ちが、ちょっと変わっているためと思いますが、本当に感動しました。 【前田 眞人】さん 10点(2003-05-24 15:12:40) |