2.《ネタバレ》 チャップリンが、ファーストナショナル時代の中篇作品を、3本立てに編集し直して戦後再公開した、『チャップリン・レヴュー』の、トリを飾る作品。終始、チャーリーが黒い牧師の服で登場するためか、映画全体も極めて異色な雰囲気。マット・モンローが、開巻とエンドクレジットで歌う『テキサスへ (I'm Bound for Texas) 』が、西部の雰囲気を何とも良く出しています。お気に入りは、何と言っても教会のシークエンス。牧師に成り済ました脱獄囚のチャーリーが、教会で聖書を手渡されて、思わず手を置いて裁判の宣誓をしてしまったり、聖歌隊の人数を数えてみたら12人だった(陪審員の数と同じ)…など、細かい素性ネタが出て来るところ。そして、有名な「ダビデとゴリアテ」の説教。この場面の、誰が見てもはっきり話が解る、簡潔明瞭なパントマイムは絶品!ほとんどのチャップリン映画には、彼の芸の見せ場が必ずありますが、中でもこれは屈指の上手さです。後年の、「3大傑作」ばかりが引き合いに出されるチャップリン映画ですが、この作品は雰囲気・ストーリー・彼のパントマイムの見事さと相俟って、知られざる佳作と言えると思います。