8.《ネタバレ》 「ブレードランナー」を初めて観たのはこのバージョン。ナレーションが無くなり、ラストのハッピーエンド的なシーンも削除されている。完全版の残酷描写の追加も今作は無くなっているみたいだ。自分はこのバージョンのエレベーターのドアが閉まってエンドクレジットが流れるラストの方が好みだ。
ナレーションのあるバージョンはこの作品の理解を助けるため一見の価値はあると思う。が、観ていればわかることも多いし別に知らなくても影響がない情報もあるため個人的には必須ではない考え。特にロイが死んだ後のナレーションは直前に観たことを説明されるのがとても無粋な感じで好きでない。娯楽性の観点からすると相当ゆるい作りの作品だがこれ程どっぷりと世界観に浸れる作品も稀だ。ナレーションが無くなったことによって更にそれが強まっていて良い。
あとはユニコーンのシーンの追加で匂わせるデッカードのレプリカント説だが自分はデッカードは人間だと思っている。レイチェルと恋に落ちるところやロイがデッカードを助けるところ等はデッカードが人間である方が素敵だからだ。リドリー・スコットはデッカードはレプリカントだと言及しているようだが、それは作品の外の言葉だ。匂わせた程度では確定しない。富野由悠季が「Gのレコンギスタ」は「∀ガンダム」の後の世界だと頓珍漢なことを言ってもそれは作品の外の言葉だ。作品には表現されていない。無視して良い。
ただ、匂わせたことは色々論争や考察を産んだのも確かでそれはそれでとても興味深いし良かったと思う。