12.《ネタバレ》 最高に気持ちのよい映画だった!面白い!
虐げられ、犯され、裏切られ、最後に大反逆の町人皆殺し!
私は歓喜しました。なんて単純明快な復讐劇でしょうか。
「ソドムの市」でファシストたちを撃ち殺せなかったフラストレーション
を、この映画はサクッと解消してくれました。
白線で構成されたセットは、演劇を意識したものかと最初は思ったけれど、
途中から古いコンピューターゲームを連想。ドラクエのように、壁の向こうに
誰がいるのか丸わかり。しかし役者たちはその見えない壁を意識しながら
自分を演じる。まさにそれは我々の姿だ。なんという発想!
奇跡のように美しい二コール・キッドマンの首に鎖を繋ぎ、犬のように扱う背徳。
抵抗できない彼女に男は肉欲を露わにし、女は嫉妬を歪ませる。嗚呼、なんて醜い。
改心する機会は幾らでもあった、奥底では間違いにも気付いていた、
それでも変わらない、変えようとしない人間なんて、犬以下だ。
人を許すことは時に、自らの救済に繋がる。人を許すことで、自らは優位に立つ。
自分は別の、良いものになれたような錯覚に酔える。
しかし衝動は消えることはない。外に向かわないものは、しっかり内に蓄積される。
投げられた球は投げ返せ。やられたらやりかえせ。そうして人間は当たり前の
距離感を手にしていくんだ。その行動が善か悪かなんて問いはやめておこう。
私はたとえ悪であっても、やる時はやるぜ。その時は装ったりなんかしない。
純粋に牙を剥くだけだ。そう、ラストシーンの二コールのように。