1.確かにやましんさんのおっしゃる通り「チープでキッチュ」である。でも私はこの作品に、成瀬巳喜男の弟子としての石井輝男をみたいんだけど、どうでしょ?
天知茂と三原葉子が彷徨うカスバの迷宮。トラックバックするカメラ、曲がり角でカットを変え、再びトラックバック、そのリズム。夜明けの光が推移する中での銃撃戦、そして赤いハイヒール。
成瀬じゃん、ってのとはもちろん全然違うんだけど、カッティングや構図、光でみせる、ある意味古典的な演出は、石井輝男をカルトな作家としてだけにとどめておくには余りに惜しいと思う。
石井輝男で一本を選べ、そう言われたら迷わず、端正で古典的、かつキッチュで猥雑なこの作品を推す。傑作。