6. 俺の敬愛するアランパーカー監督の作品。
――人間には知ってはならない領域がある。
まさに、この言葉がふさわしい映画。
想像力があればあるほど、この映画の深淵は…ただ深く。
更に深く…果てしなく深く…そして恐ろしいのだ。
ルイジアナ州の熱帯地帯。
その熱気の中で、日常の「何か」が歪んでる。
黒人のブルースが聴こえる中で、「何か」が潜んでいる。
陽の光が滲む豪雨を走り抜ける「あのシーン」が好きで堪らない。
そして、いつの間にか…あの曲を今は…自ら、口笛で奏でている…
それが、俺にとってのエンゼル・ハート。
人は…自由に謳歌し、人生の夢を追う。
人は…他者を謀り、その枠を抜け…ただ自分の力を信じる。
その末に夢を掴んだとき…きっと知るのだ。
自分は「誰」と対峙し、その夢を何故に掴んだのかを。
そして自身を見つめ、来た道を振り向き、やっと知る。
そこには何もなく、日常に氾濫する死を。
そして、絶望と圧倒的孤独感の中で理解するがいい。
――人間には知ってはならない領域がある。
そう、どこまでも堕ちていくエレベーターの中で。