1.遊園地の占いコーナーで不吉な予言を受ける女性。映画の冒頭、慌ただしく、性急な画面展開の中で、そのシーンは綴られるのだが、彼女が遊園地を離れその駐車場へと向かう時、先ほどの喧噪とはうってかわった落ち着いた1ショットが登場する。不安げな表情を浮かべ、髪が風でなびき、遊園地の喧噪がかすかに聞こえる。別にたいしたショットではないのに、ああ映画を見てるなぁという気にさせるのは何故だろう。■例えば、崖下に墜落した車に近づくクリスティーナ・リッチを捉えたロングショットや、鼻をクンクン言わせながら歩くリッチのトラックバック、あるいは身体の異状に怯えトイレに駆け込んだ彼女とその友人を捉えた不安定な俯瞰ショット。■こういうアクションを撮るときはこういうカメラポジションであるべきだ、という明確なスタンスを持っているわけではなく、たまたまこういうポジションになってしまった的な、さり気ない風情。「風」吹かせたほうがいいか、というスタッフの好意。なんだかわかんないけど、くにやくにゃ演じてみるか、演出してみるか、なリッチとクレイブン。つまり、いろんなことがいい方向に走りました、みたいな、謙虚でささやかだけれど大切な何かにこの映画はあふれてる、と思うのだがどうか。■ミステリー色、コメディ色、青春色は支離滅裂だし、クライマックスの蝋人形クラブ(?)は実に非映画的な空間だし、リッチは一体何の仕事してるの?とか、なんか行き当たりばったりな映画よのぉ、とは思うんだけど、ああ、実に腹八分目、いい気分で映画館を出た、満喫。