1.《ネタバレ》 米ソの冷戦終結という世相を背景に、クリンゴン帝国との和解をテーマにした、初期レギュラーによる映画版の最終作。
映画館で見たとき、途中の展開は「アメリカ開拓時代の、白人とネイティブアメリカンの人々との対立と和解をテーマにしたお話で、似たようなものがあったような…」とは思いましたが、「SFという設定で、現代社会の問題を提起する」というスタートレックの原点を堅持しながら、3作目であっけなく亡くなってしまったカークの息子・マーカスについて取り上げ、クリンゴンとのわだかまりを解いていく方向へと活かしていくなど、それまでの映画シリーズの展開を上手に締め括ってくれたな!と感激しました。公開当時、スタートレックの生みの親であるジーン・ロッデンベリー氏は亡くなられていましたが、映画の中で、その追悼の意も明記されており、きっとこの作品を天国で喜んで観ていてくれただろうと思いました。私自身、社会人になっており、映画版の1作目を初めて見た高校時代からの歳月を振り返り、映画版の節目と人生の節目を重なり合わせて感無量になりました。
敢えて言うなら、①スポックが目にかけていたヴァレリスは、2・3・4作目に登場したサービック(バルカン人とロミュラン人のハーフ)であれば、一層、彼女の行動が意味深になったのでは…ということ、②音楽が全編にわたって重々しく、できればジェリー・ゴールドスミス氏(1・5作目担当)か、ジェームズ・ホーナー氏(2・3作目担当)であれば、よりいいかな…とは思いました。ただし、個人的な好みの問題であって「あの映画のままで良い」という方々も多いでしょうから、評価からすれば些末的な要素かと思います。
さて、採点ですが、初期レギュラーによる映画版の締め括りに相応しい作品として、10点を献上いたします。