2.この作品ではジョン・シングルトン監督の”過剰演出”が際立った。問題となるこの兄弟ダウボーイとリッキーの極端過ぎる対照的な生活と性格の違い、夜のシーンでは毎日と言わんばかりにLA上空をヘリの爆音を鳴らせ常にこの地区であたかも犯罪が起きているようにみせつけ、黒人に対する警官の過剰な行為、そしてただ気に食わないだけで銃を乱射するというギャング達。ドラッグetc・・・。過剰演出とは時にやりすぎるとただのバイオレンスムービーになりがちですがこの作品は「現状と向かい合い自分を見つめなおす」という強いメッセージ性のあるものに仕上がっている。ブラックムービーの中でこの作品ほど現実的で”分かりやすさ”を現しているのものは他にはないと思う(スパイク作品は作中においていろいろと問題定義があり観客一人一人が考えなければならないので初見の方には分かりづらいところがあるかもしれない)。出来ればこの作品やスパイク作品は最近の黒人ファッションを真似ただけのダボダボ10代の若者達に観て欲しくあり、本質的な”内なるもの”を感じてほしいと願う。ミュージシャンやスポーツ選手への憧れとしてファッションから入るのは決して「間違い」なんてことは言ってない。仲間内で流行っているからそれに置いてかれないように似たような格好をすることが個性化の流れを止めてやしないか?と思っているんです。形から入ったのであれば次のステップは彼らへのリスペクトを忘れないでほしい。とにかくブラックムービーは米映画の見方が多少なりとも変わるかもしれない作品が多いのでぜひ観ていただきたいです。 追加でこの父子役で共演したフィッシュバーンとグッディングJrは「ブラインドヒル」という作品で黒人初の戦闘機乗りの同僚としてこれまた共演している。