【火蛾】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-04-28 15:17:22) |
7.小津安二郎監督作品の不思議なところは内容は一見平凡そうではあるが、観終わった後に良かったと思えるものが多い。この作品もそうだ。 原節子が演じる紀子の結婚に対する彼女自身の心境の変化の描き方が本当に素晴らしいし、登場人物の中でもさり気なくきらりと輝かく演技をするのが、たみを演じた杉村春子。 他にも三宅邦子や笠智衆といった名俳優、名女優たちが輝かしい演技を見せている映画なので必見です。 結婚観に関しては、現代に通じるものがあるのかも知れない。純粋に面白い作品です。 【功聖良】さん [DVD(邦画)] 10点(2014-04-04 23:16:26) |
【ウンコマン】さん [地上波(邦画)] 10点(2007-07-31 00:05:51) |
5.小津映画のポイント(常套句とも言うか?)が全部まとまって出てきて、これを見とけば、後の映画は全てバリエーションとして捉える事が可能。個人的には、この作品が小津作品の中で一番好きです。 |
4.ヘーゲルは、愛の共同体としての家族は、子どもの自立によって必然的に壊れて行くものだと喝破した。小津は、ヘーゲルのテーゼを、幾度も幾度も日本的な情感を込めて映像化する。つまり、小津が描いたのは、家族ではなく、離婚、子どもの結婚、死などによって、家族がこわれて行く過程である。、、、、、、、「麦秋」では、名前だけしか登場しない「正二」(字は不明)が案外と重要な位置を占めているように思えた。ほぼ固定されたカメラの視点は、南方で戦死した正二の霊が、親しい家族のところに戻り、見ているように感じられたからである。ヨーロッパ的に、上から見下ろす神の視点ではない。下から、親しいものを見守る、優しいまなざしである。そしてその眼差しを意識するとき、平凡な家族の空間は、オルゴールの音色、女声コーラスの声とシンクロしつつ、神話的な空間に高まっている。、、、、、、その一方で、これは時代の記録でもある。、、、、昭和20年代、30年代については、例えばNHKの「東京風景」などの記録があるが、小津の映像と、どちらが的確に時代を映し出しているのだろうか。私は、小津の映像だと思う。 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-07-18 01:21:11) |
3.これはシンクロナイズドスイミングを見ているかのような映画です。人物の所作や会話の呼吸、そして配置。キャスト全体で一つのチームです。一人ハッパをかけている笠智衆はさながらシンクロチームのキャプテンてとこでしょうか。「ねえ~」「ねえ~」の呼応、「勇!」で動き出す兄弟、「ほんとにほんとよ」「え~」の杉村と原・・・。同じタイミングでコップを口に運ぶ原と淡島のショットから同じく口に食べ物を運ぶ菅井と東山のショットへのカットつなぎ。レストランで4人がお茶を飲むシーンは、既婚組を動かし手前と向うの2対2の構図を作り、最後に原と淡島が同時にお茶を口に運びます。それらを持って、いつの世も、子供はそんなもので、親はそんなもので、でもって家族はそんなもので、それが繰り返されて時が刻まれる悠久の営みを語ります。凧、喫茶店の席、紀子が勤めていた会社の窓から見る風景・・・。そしてたった一度の会話でタイトルにまで昇華させ、死者の存在を浮き立たせる小津さんと野田さんの脚本のセンス。時はめぐりながら死者もしっかりと生きていることを麦の揺らめきで堂々と語るラスト。技術点、芸術点、ともにハイポイントの素晴らしい作品です。 【彦馬】さん 10点(2004-12-12 23:50:11) (良:2票) |
2.ある時代が終わって別の時代が始まる転換期が、刈り入れどきだけど初夏でもある麦秋を背景に描かれて、ちょうど泣き笑いのようにかなしいのかうれしいのかわからない感覚になりました。もちろんこんな一言ではすまないような解釈の余地があるようにも思える映画です。古い映画だからああいう独特の雰囲気かとおもっていたら、ほぼ同時期で重複するキャストで『長崎の鐘』という映画(良い映画ですが)を見たのですが、全くといっていいほど雰囲気が異なっていましたので、小津さんの色ということなのでしょう。 【its】さん 10点(2004-02-18 00:41:56) |
1.小津のなかで一番好きな作品かも。縁談を断り、妻と死別した二本柳寛のとこへゆく原節子に当時の日本の新しい女性像を見た気がした。杉村春子と原節子のやりとりもよかったなー。 あと、子供をうまく取り入れているので、アクセントがついていると思うっす。 【たましろ】さん 10点(2003-10-13 20:24:58) |