18.2008年に修復したフィルム。 配信の技術も素晴らしく、スッキリ綺麗な映像を観られた。 ずいぶん前にビデオ録画した黒沢作品は(どの作品かは忘れました)ぼやけて見づらかった。 時代が進むと、昔の名作が当時のものに近く観られる。 嬉しい進歩に感謝。 さて、「羅生門」のレビューに移ります。 光と影をこんなにも美しく撮影できるとは! そして三船さんの活発で残酷でイキのいい演技。 端正な顔がくるくると表情変わり、美しくコミカルな動き。 深刻な話しでありながら、おかしみも感じられる。 京マチ子さんの体当たり演技も良かった。 不気味な羅生門での3人のやりとりにも引き込まれた。 これぞ映画と思わせてくれた名作。 【たんぽぽ】さん [インターネット(邦画)] 10点(2022-06-21 13:03:55) (良:1票) |
17.《ネタバレ》 ん?と思ったのち ぞくぞくして、戦慄して、凄い!と唸った映画。役者と台詞だけでこんなに切り口が変わるんだ。圧巻なのは湿度の高いべったりした雨と黒々した不吉な門。志村喬の朴訥さにはほっとした。 2014/1 原作読了。わあ、この脚本凄いんだなあ。人間が嘘をつく行為はすなわち何を大事にしているかがつぶさに分かって面白さが倍増。多襄丸はその“悪名高き大悪党”のカッコ良いイメージを落としたくない。まさかあの多襄丸が女にどやされて、へっぴり腰でどたばた乱闘劇をやらかしただなんて絶対知られたくなかったのね。プライド高い侍の男は妻に裏切られ、自害をとげた悲劇の主人公像に死んでもこだわり、女は哀れな純被害者を言い通してか弱き高潔さを世間に示したい。いやはや。三者の言い分をすべてひっくり返す樵の目撃談を考えつくって、いや天才か、と驚いた次第であります。当時の時代考証の精密さといい、山中の木々の濃い影や土の匂い、玉の汗に見る蒸し暑さ。女どもの妖しさ。いろんな要素が心に刻み込まれるこの堂々たる日本映画、やっぱり10点にしますね。 【tottoko】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2014-01-06 23:07:13) (良:1票) |
16.《ネタバレ》 私は初めてクロサワ映画を観たのですが、文句無しの面白さでした。躍動感溢れるカメラワーク、奇抜な構図、迫力ある殺陣など、エンターテイメントとして素晴らしい出来なのは勿論の事、原作「藪の中」の持つ、人の浅ましさや利己主義も自然と分かり易く描かれています。終盤まで人間の厭な部分をこれでもか!と見せつけた後、雨が止むと同時に一筋の救いが見えるという展開も素晴らしい。矢張り人にも希望を持ちたいのが人情ってもんです。 三船敏郎の演技は無論良かったのですが、それよりも京マチ子が演じる妻の豹変振りが一番心に残りました。お代官様の前では、さめざめと泣いていたのに、木こりの話の中では正に鬼ババ。私はここまで悪女、毒婦、妖婦、等の言葉が似合う演技を見た事がありません。 【民朗】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-01-16 02:20:43) |
15.黒澤映画の中じゃこれが一番好き。黒澤明の楽しませ方とか、映像へのこだわり方とか全部詰まってる。カメラワークも他の黒澤映画に負けないくらい良かったし、あの豪雨の演出はすごかった。音の勢いも水の重苦しさも半端じゃなかった。雨をよけている屋根の下の空間っていうのが切り離されてポツンとした空間として出来上がってた。殺陣ってゆうかタテもあれだけ鬼気迫る動きと表情だと息をのむ。無茶苦茶やけど黒澤らしくて良い。刃物で切りあうんだからあれぐらい必死じゃなきゃな。みんな自分勝手に言いたいように事実曲げんのもアホくさいけど何か真をついてるし。これだけ色んな楽しさが詰まって88分だからね。すごい。 【ハッシーふりかけ】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2006-04-19 02:40:34) |
14.《ネタバレ》 死人に口なし。人間というものは自分に有利で都合のよい供述をする。死人も死人でこれまた同じで、しかも恥を嫌う侍なのでなおさらだ。(巫女を通してだが) ラストに赤ん坊を登場させるわけだが、これは芥川龍之介の原作にはない。賛否両論分かれるところだが、救いを持たせるラストともいえ溜飲が下がったのは事実。この辺り、やはり黒澤監督らしい締めくくり方だ。登場人物はわずかに8人。(赤ん坊除く) 京マチ子の妖艶な演技を初め、各人各様の存在感のある演技が作品そのものを引き締めている。生々しい斬り合いのシーンは当時としては斬新であったろうし、霊媒師の異様なシーンもこの不可解な心理劇に独特の味付けをしている。また宮川一夫のカメラワークと映像も見応え充分で、セット美術も申し分ない。鬼が宿るという羅生門の不気味な雰囲気描写、神秘的な森や木の葉を映し出すシーンなど印象的なカットは数多い。人間の心の奥底に潜む業という、洋の東西を超えた普遍的かつ永遠的ともいえるテーマ性。芥川龍之介の世界観とまた一味違った独自のものを構築しており、監督黒澤明を筆頭に三船敏郎、京マチ子、そして宮川一夫の名を世界に知らしめた傑作。 【光りやまねこ】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-08-30 23:34:53) (良:1票) |
13.人間の不可解な奥深さをみごとに描いていると思う。この映画見ただけで、ひとりになって人間関係の無い世界に行きたいと思ってしまう作品。映画として、非常に特殊な状況を作り出し、人間のエゴを異常なほどむき出しに表現しているが、多かれ少なかれ、会社や組織の中にいると同じようなことが日常茶飯事に、起こっているような気がする。京マチさんがきれいですね。 【やまさん】さん 10点(2004-08-18 21:31:01) |
12.やっぱり、日本=大雨なんでしょうか。京マチ子のお多福顔みただけで平安時代だと思ってしまう。この頃のクロサワ映画の女優さん達は、品があって美しいな。(カラーになってからの女優の酷いこと。クロサワも枯れちゃったのかな。w) 【Waffe】さん 10点(2004-05-10 00:22:36) |
11.白黒映画を撮る上で東洋には、西洋にはない強みがある。それは白と黒の色の美学だ。東洋には水墨画という伝統美術がある。それは、完全な白と完全な黒との間の無限の灰色の一色一色全てにそれぞれの意味を見出すというもので、白と黒が持つ無限の美学と可能性を畏怖する思想だ。だからこそ日本は前提的に、白黒映画を武器に出来た。黒澤監督はそれを誰よりも分かっていた。だから、1つ1つの色彩に偏執的なまでにこだわり、結果的に作品中に1つの宇宙を作り出した。無限の美学。この作品の色彩の美しさには紡ぐ言葉もない。木立にも、光にも、百姓が着るボロ服の中にも美学がある。この作品の中に剥落するものなど何もない。必要なものは全てあり、不必要なものは何もない。事象全ての凝縮体のように思う。限りなく瑣末な人間模様、滑稽劇の中に、1つの宇宙がある。人間の弱さ瑣末さ矮小さ、人間が卑小であることに対する、1つの赦しがある。 【ひのと】さん 10点(2004-02-06 15:41:58) (良:6票)(笑:1票) |
10.《ネタバレ》 ネームバリューがすごいのでかなり期待して見たのだが期待通り面白かった. 最初からストーリーに引き込まれ,あっという間に終わったという感じ. 人は自分の都合のいいように物事を解釈しようとするということを 本当にうまく表現した素晴らしい作品. 脚本・演出などどれをとってもまさに一級品の映画だと思う. |
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9.やっぱり黒澤作品は凄いと思わせられる作品。しかし原作は羅生門じゃなくて藪の中なんだね。羅生門で繰り広げられる老婆とのやり取りを期待していたのだけどそこが少し残念。しかし十分に楽しめた。それにしても羅生門のおどろおどろしい雰囲気の描写はさすがである。 【たけぞう】さん 10点(2003-10-29 01:05:33) |
8.人間とはすべからくエゴイストである。俗から離れた僧であっても、性善的なエゴを持つ。エゴが激しくぶつかりトコトン落としたところで雨が上がり一筋の光が差し込む。 【亜流派 十五郎】さん 10点(2003-10-28 22:16:21) |
7.邦画で面白いなって思って数少ない作品の一つ。白黒苦手だけどみれた。はまる。 【うさぽん☆】さん 10点(2003-05-28 00:15:08) |
6.人間の凄まじいまでのエゴ。すばらしい映像美と洗練された音楽、さすがです。「藪の中」もすき。 【coco】さん 10点(2003-03-27 01:59:06) |
5.真っ黒な映画思い出してどきどきするいろいろ考えさせられる 【きれぎれ】さん 10点(2002-05-23 03:07:12) |
4.白黒の美を感じました。三船さんのワイルドな無邪気さも、京マチ子さんの妖艶さも素敵でした。個人的に千秋実さん、良いです。 【舞花】さん 10点(2002-02-11 04:49:37) |
3.原作『藪の中』を見た後でこの作品を観た。黒沢監督の凄さがこれでもかと、わかりました。このある種のミステリのつじつまをみごとに合わせ、最後に一筋の希望の光さえ打ち出した監督のセンスに感服。この作品を一度観て、眠くなった方。訳がわからず途中で放棄してしまった方。原作・芥川龍之介の『藪の中』を見てから再度トライしてみましょう。監督の偉大さとともに、もやもやしていたものもすっきりと『羅生門』が消化してくれるハズです(笑)。 【イシヅカミナト】さん 10点(2002-02-04 23:25:14) |
2.時代劇と言うより、ヒチコックばりのスリラー。いやそれ以上の迫力と、なんと言ってもその意外なストーリー展開に圧倒された。 【イマジン】さん 10点(2001-01-27 00:34:53) |
1.世界に黒澤の名を轟かせた名作。原作「藪の中」とは違うラストシーンに「黒澤ヒューマニズム」を感じる。 【大列車強盗】さん 10点(2000-12-11 00:34:43) |