4.《ネタバレ》 大航海時代、産業革命を経て世界を西欧の植民地主義が覆っていた中日本人の暮らしは貧しく、士官は社会のエリートであり子供の憧れ、男子であれば家族が普通に兵隊になる、身近な存在であった。軍隊とて戦闘がなければ普通の組織の一種で、どういう経験をするかはそこにいた人間や組織の置かれた状況によって千差万別。主人公のように食うに困らぬ生活の中で、生涯の友人を得たり上官にやさしくされたり字を習ったり、比較的よい経験をできたこともあっただろう。このような作品が戦後生まれ、戦中世代に受け入れられていたことはその証左ではなかろうか。戦中世代が少なくなっていく中、かつての郷土部隊が国民と地続きであったことを知らしめてくれる作品のひとつとだと思う。
寅さん以前の作品であるが、やっぱり渥美清は素晴らしい。