1.すごく切ないですよね。ヨアヒム、セシリ、ニルスにその妻、そしてその娘。実に正直なストーリーであったと思います。そしてその一人一人の立場、その状況において もしも自分がその立場になってみたならって事を想定したならば、きっと自分だってあの通りになってしまってただろうな なんて思ってしまいます。特にヨアヒムがセシリを遠ざけてってしまった気持ちなんて痛い程によく分かりますし、自分がニルスであったとしたなら、それもそれできっと我を現実をも忘れてしまってああなってしまったのではないかと思います。そしてセシリにしてもそう・・。 そうね、例えるならこの関係というのはきっと食物連鎖のようなものなのではないでしょうか。末恐ろしいですね。現実に有りえそうな事だし かといってその世界に足を踏み入れてしまったならもうどうにも抜け出せそうになくなってしまうのだろうし 挙げ句の果てには本当に最愛のひとなんて失ってしまいそうだし、ほんとにもう 悲しい事だとは思うのですが、やはり自然と食って食われての世界になってしまうのではないでしょうか。ほんとにもう、これは人間の性なのです。それが私たちが生きている社会なのです。事実なのですから仕方がないのです。 そして、そんな人生上での厳しさやら絶望感やら虚しく行き違えてしまう愛情表現やらを、この作品では実に上手い事完璧に表してくれているのではないでしょか。あとはこの物語の成り行きについての良し悪しという判断は、全て私たちに任されているのです。そんな意味ではもっとたくさんの方のご意見が聞いてみたいな なんて思えてしまう作品である事しかりなのです。そんな意味もあって私はこの作品が大好きです。ひとりひとりの人物が語る際の間の取り方や、寄り過ぎではないかなとも思えてしまう顔のドアップやらその表情の撮り方や、とにかくこのカメラワークだって全て素敵に思えてしまったのです。大好きです。