1.《ネタバレ》 ハリウッドやスティーブマックイーンの名前自体、このころすでに、”伝説”(しかもあまり価値のない)になっていた気がする。タワーリングを最後にした、長期の休眠と時代は、彼を普通の”男”にしてしまった。作品は、ほぼ9割以上彼の”監督作”といってもいいだろう。その、虚飾や演出を欠いた(というか知らない)平凡、単調なつくりは、マックイーンとはいえ目を覆うものがある。むかし、かのスーパースターだった”マックイーン”はこの作品にはもういない。ここに出演している老ガンマン”トムホーン”を演じるひとは、むかし、”スティーブマックイーン!”だった、肺を深く病んだ、老人だ。そしてここに、老人は、この作品で、主人公を絞首刑にて殺すと共に、みずからの俳優人生に別れを告げる。そして彼は示した。この作品で、マックイーンがライフルを撃つ、多くのシーン、それだけで、、、、ただそれだけで、これから生まれてくる、数十数百のどんな男性俳優たちも、絶対にマックイーンにはかなわない!ということを必然的に決定している。もうマックイーンはいないのだ。
氷山が消えてゆくがごとく、ある種の”才能”も当然!消えてゆく運命なのだ。
代わりに今は、”アレキサンダーマックイーン”と”メジロマックイーン”がいる。(いません!) 追加!これの制作過程のハナシを知ったので書く。マックイーンの構想によれば、この作品は、3時間を超えてしまう、大河ドラマになってしまう物だったそうだ。しかし、出資側との折り合いがつかず、前半、ジェロニモを捕える戦いのくだりや、若かりし頃の話をすべて吹っ飛ばしたらしい。それでこういう作品にしあがった。それでわたしとしては、納得できたのでした。この作品はトムホーンの後半生で、しかもカットしすぎである。観客としては、絞首刑だけみせられてもしょうがないのである。(いくら、マックイーンフリークでもね)しかし、これ考えてみりゃ70年代の作品なんだよなあ。同じ年のイーストウッドがずいぶんと、若くみえてしょうがない。ブランド、ディーン、ニューマンそしてマックイーンと比べてイーストウッドはだいぶん落ちる。だからこそ、監督業をやったのだ。 いくら”ダーティーハリー”がおもしろくて、非常に優れていても、スティーブマックイーン”ブリット”にはかなわないのだ!