2.無駄のない展開と強いメッセージ性、そして地上の閉塞感(静)と空の開放感(動)との映像の緩急は見事だ。
音響も素晴しく、スカイウォーカーサウンドの緻密にして繊細なサウンドデザインは、その場の空気を感じさせる。
とくに、日常の些細な物音や環境音などの録音が素晴しく、アニメ空間にリアルを描き出していた。
声優陣も素晴しく、スイトは他を寄せ付けない圧倒的な存在感があり、ユーイチはどこか傍観者的で無垢な感じがうまく出ている。
とくにトキノとミツヤの声はキャラクターとのズレを微塵も感じさせなかった。
川井憲次の音楽も素晴しくハープの調べは観る者の情感を強く刺激し、オルゴールの旋律は無機的で、何ものにも制約を受けない絶対的な摂理のようである―――。
【最後に】
スカイクロラを系列の違う劇場で三度見たが、とても残念なことがあった。
それは画面(映像)が縦に揺れる(ブレる)のである。原因はフィルム焼付け精度の低さ。
出回っている全てのプリントがこのような粗悪品ではないと思うが、
ブレの強弱を抜きにしても、どのプリントもこの傾向はあるに違いない。
この現状を何より遺憾に思うのは監督を含め、作品に関わった人達であろう。
演出上、カメラをフィックスで長回しが多いこの作品にブレは致命的だ。
このような事からスカイクロラは、ブレの心配の無いDLP上映が望ましいのだったのだが・・・。