2.あの時の「ひろしま」はこんなふうだったのかと、大きな衝撃を受ける映画だった。
燃えさかる街から川へと逃れる大勢の女学生たち、負傷者で溢れる救護所など、胸に焼き付くような圧巻のシーンの連続だった。
原爆を扱った映画は多々あるが、ここまで生々しく迫る映画は他にないのではなかろうか。
特に、このような悪魔的兵器を民間人の上に落としたアメリカ人の言い分、第三者のドイツ人の見解をさりげなく挿入してくれているので、人間の犯した原爆投下という行為の恐ろしさが、より一層、胸に突き刺さる。配給会社はこのシーンを問題視して、配給を取りやめたそうだが、当時の日本人もアメリカにずいぶんと飼いならされてしまったものだ。残念なことである。
原爆投下による民間人大量殺害は、天変地異ではなく、人類の犯した最大の罪の一つだろう。この映画が一人でも多くの人に鑑賞されることを願って止まない。