1.《ネタバレ》 白石監督お得意のフェイクドキュメント。最初の出だし、OL3人の旅行先のユルユルホームビデオで始まるので、かなり面白くなさそーで、はずれかなーって思い観ていたら、その5分後から最後まで、一気に映画の世界にのめり込まされました。正直、かなり面白かったです。ずっと見てられる。有名な「ノロイ」とかより、この映画こそが白石監督作品の中での最高傑作だと思います。ただ、この映画、かなり人を選びます。映画に倫理観を求める良識ある人、映画の中のリアルに関して厳しい基準がある人、変な映画を余裕で楽しめない人、殺人事件の背景を追ううちに怪異が見え隠れするってゆうルポ風ドキュメント物語に興味がもてない人、怖い場面だけが見たい人、そして何より危ない奴の動向をずっと見てられない人には確実に時間の無駄になるでしょう。フェイクドキュメントですが、ある程度、こちらが「これは本物なんだぜ」とちょっとのってあげる気分で観る必要があるかもしれません。僕的には白石監督作品の中で一番、楽しめました。この映画はハマる人は絶対ハマると思います。面白かった所をあげると、まず監督が監督自身の役で登場しているところです。この映画は、監督が異常殺人事件とその背景のやばいものを追うために、このルポドキュメントを作ったってゆうテイです。監督の映画を撮る事自体をフェイクの中に置くことで、リアル性を出しているのです。まるでNHKなどの事件を追ったドキュメントを見てるかのような現実感があり、監督を含む役者の演技も、全員、自然でリアルに見えます。僕が今まで見た映画の中ではその本物さ感はトップ3に入るくらいです。ちなみ黒沢清監督がこれまた本人役で登場し、演技もかなり自然です。次に、徐々にドキュメントの焦点は、ある一人のネット難民の男に絞られていくのですが、この男がまたすごくいい。最初は事件の被害者とゆう仮面をかぶっていて、インタビューに答える普通の人って感じなんですが、彼を追っていくうちに、あれ、この人、ちょっとやばいんちゃうかなってのを、徐々に感じるようになるその過程の描写が、うますぎです。最初はなんか100円貸してとか、たばこちょーだいとか、ちょっとずーずーしくなります。このあたりで、この人にちょっと違和感を感じます。そして居酒屋の席で、女性インタビュワーにボロカスゆーとこで、こいつ変な奴だわーって感じが一気に噴き出します。そのあとは、もうこの男から目が離せません。こんな人、おるわーってゆう実在感とこいつヤバい感が合わさって、なんかよくわからん緊迫感とやばい奴になぜか注目してしまう背徳感。やがて映画は、古い日本の神様とか出てきて、クトゥルフっぽい雰囲気も出てきます。そして驚愕のあの変なもの映像。特撮的にはかなりチープなんだけど、やべーわ、なにこれ、って感じで背筋がゾワゾワしてきます。この後、後半は、さらにやばい展開をしていき、フェイクってわかりながら、本物さを楽しんでるとゆう感覚がたまりません。正直、監督、やりすぎってか遊びすぎって所が何か所かあるので、そこは笑いもあって、映画なんですけど、でも僕は逆にオチも含め、そーゆうのがあってよかったって思います。じゃなきゃ、ちょっと精神的にしんどすぎです。それにしても、オチのそこまでやるか感はすごい。あのラストを観てるこっちの奇妙な感覚は説明できないです。フェイクドキュメントだとわかってるんだけど、本物感を楽しめるさらに斜め上にいっちゃいます。ちなみに、ネット難民の江野は白石監督の他の作品にも同一人物として登場するとゆう白石ワールドみたいな世界観があり、「コワすぎ」最終章とこの作品は世界観がつながっていたりします。そーゆうとこ、全部ふくめて、地獄だぞ!