5.《ネタバレ》 急停止した車の中でアロンゾがいきなり銃をジェイクの頭に突き付けて言い放った言葉、「組織に潜入中、ヤクを断ってみろ、一発でサツだとバレてあの世行きだ。」この台詞にはぐっ、ときた。仕方がなくても認めざるを得ない、必要悪を肯定する言葉。でもこの映画のアロンゾは必要悪にすら描かれていない。自分の都合で必要悪を使い分けている、正に悪徳刑事。デンゼル・ワシントンの圧倒的な説得力でジェイク同様に観客も彼の言う羊を守る為に狼にならなきゃ駄目だ、と言う台詞、汚い現実を見せた事を謝る姿に本当にジェイクの将来を考えているんだ、と思わせた。でもその前に既にスマイリーに、「バスタブを磨いておけよ。」と笑いながら電話していたアロンゾの姿を見ると、彼のこれが普通、俺の邪魔をするヤツを消して何が悪い?というアロンゾの本質がデンゼル・ワシントンの演技で見事に表現されていて、故にイーサン・ホーク扮するジェイクは
非常にピュアに描かれていて、彼の「幻滅した、古巣に戻るよ。」と言うあの繊細かつ力強い演技は痛い程胸に伝わった。映像も美しく、日が昇るOPから、長い一日を感じさせた演出も見事。アロンゾの壮絶な死に様、皮肉を効かせたラストも良。自分の中では完璧な作品だ。