8.感情移入しない淡々とした演出で、国内外の政治的駆け引きを前半これでもかと見せつけた上での、後半の戦闘シーンのカタルシス。大本営発表によって歓喜した当時の日本国民同様、歴史としての敗戦を周知している自分も、奇襲による圧倒的、一方的な戦果を描いたシーンには不謹慎にも興奮、喝采してしまう。
印象的な攻撃シーンとして、カーチスP40がゼロ戦の機銃掃射で離陸前に撃破される場面。何度見ても驚愕する。死傷者が出たという撮影の凄まじさは納得できる。またレシプロ機といえども、急降下で迫りくるそのスピード感はCGでは表せないであろう迫力である。
しかし、本命の攻撃目標たる空母を発見できない状況下、南雲中将の弱腰の帰還命令や、山本長官の虚しい思いを述べたラストシーンで、あっけなく現実に引き戻される。実際、その後目覚めた巨人の国を挙げての復讐戦のすさまじさは、日本国民に取り返しがつかない犠牲を生んでしまった。
ほとんど軍人と政治家、外交官関係者しか登場しない劇中、彼らの苦悩、悲劇がストレートに感じられた。日米合作である事の意義が見事に活かされている。
そして日本軍人の凛々しさと尊厳を、ハリウッド資本の映画でここまできっちりと描く事を是とした米国製作者一同に心から感謝。