1.あらゆる映画のナンバー1『グリード』。 この映画のオリジナルは本当は一体何時間何分あるのだろうか?今観ることのできる最長のバージョンは何時間何分あるのだろうか? 私が観たものは、確か100分にも満たなかったはずである。したがって、「本作を観た」とは正確には言えない。観たのはこの映画の”断片”に過ぎない。 ただ、幸運だったことに、本作(の断片)を観たのは、十数年前に青山にある草月ホールで行われた特別上映会。しかも、故淀川長治氏の解説付き。 本作の魅力については、すでに様々な所で氏から聞かされてはいたが、この日はちょっと違った。氏は、いつにもなく興奮し、大きな身振り手振りで、今から上映するこの映画(の断片)の見処を余すことなく我々観客に伝えてくれようとした。普通の映画なら、もうこれでアウトである。映画の天才語り部・淀川氏の解説が醸し出す映画の魅力が、作品本来の魅力を遥か凌駕してしまうことが度々あるからである。そのおかげで、私はどれくらい割りを喰ってきたことか(笑)。 だが、本作は違った。腐っても鯛、いや相手は映画史上最強の横綱『グリード』(の断片)である。冒頭からすでにスクリーンに投影される映像の途轍もない存在感に圧倒される。物語やキャラクターも強烈だが、何よりも画の迫力が凡百の映画とは訳が違う。耳にタコなほど聞かされていた有名な死の谷のラストシーンも、非常に鮮烈であった。ゆえに上映が終わった後しばし放心状態、汗びっしょり。もう、しばらくは映画観るのは止めようと思ったくらい。 嗚呼、このような体験あればこそ、私は夢見る。『グリード』が観たい!9時間はあると言われている完全版は望むべくもない。現存するならせめて4時間版を、私は是非とも観たい!! 断言してもよい。もし、観ることが叶うのならばのならば、地獄に落ちたって構いやしない。(そうですよねえ、STING大好きさん)