1.ジョンレノンに100%共感できる人というのは、もはやいないのではないかな。実際、彼のファナティックとも思える行動にそれほど惹かれるものはないし、「イマジン」で歌われる理想に心底ジョインする気分にもなれない。にもかかわらず、ジョンレノンという、そのすべてを否定できないのはなぜだろう。それは多分、僕が「イマジン」よりも「ジョンの魂」の方が好きだということに関係するのかもしれない。ジョンとヨーコが初めて出会った有名なシーン。ヨーコの個展を訪れたジョンが備え付けの虫眼鏡の中で見た小さな「Yes」の文字。自らの赤裸々な想いを小さな「Yes」に乗せて歌う「Mother」や「God」。大きな「Yes」でも小さな「No」でもないもの。この映画に垣間見える、彼が本当に追い求め、そして得たもの、語られない彼の密やかな情念、映画「イマジン」の映像や音楽が確かな形をもって伝えてくるものがある。死ぬ前の一枚の写真。彼の真摯な視線の先に見ていたもの。ラストの死のニュースには自然な哀しみを覚えた。