6.《ネタバレ》 下手なコメントできない。 日本映画の傑作。 何度も観たい。 【トント】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2021-07-09 11:12:42) |
5.後年の三船+高峰阪は邦画のリメイクとしては相当よく出来たものと考えているくらいなのだが、それでも検閲によって中途半端になったオリジナルを愛すのはやはり物語を流れる雰囲気が素晴らしいから。宮川一夫のカメラ。監督稲垣の造形。まさにスクリーンの花、園井恵子。誰が欠けてもこうもいかなかっただろうけどやはり阪妻。粗野な行動と繊細な感情、力溢れた肉体に心優しい精神、そしてあふれ出す想いとそれを胸にしまい込む態度。相反する要素を持つキャラクターを「哀愁溢れる」姿態で見事に創り上げた、これが阪妻の名優たる由縁でしょう。阪妻、彼は男の持つ「哀愁」で映画ファンの心を鷲掴みにしたのでありました。邦画界における「心優しい、愛すべき乱暴者」の原点。 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 10点(2007-11-10 10:32:49) (良:2票) |
4.ずっと前にテレビでやったのを録画してあるという親戚に借りて見ましたが、あの感動は一度、観ただけで私の脳裏から離れない。そして、そんな映画が遂にDVDとなって発売されると聞いて速攻で予約、発売初日に買って来て再び観賞することに!いやあ、もうオープニングから眼が釘付けになる映像の素晴らしさ、これは間違いなく日本が世界に堂々と胸を張って誇れる日本映画史上最高の名カメラマン宮川一夫撮影監督の力が大きく、冒頭の二階から外へと移動カメラにより映し出されるスーパーショット、こんな映像、今の映画界では絶対無理、宮川一夫撮影監督にしか撮れない映像の素晴らしさにただただ見入るしかないほどの完璧な映像の世界にこれこそ映画ならではの映画でしか出来ない映像の世界に酔いしれ、そして、そんな映像と共に主演の阪東妻三郎の演技、人情味溢れる優しさに涙、涙、運動会のシーン、祭のシーン、太鼓を叩くシーン、更には松のエピソードがこれまた涙なくして見れず、どれもがとにかく泣けて、泣けて、今でもまだ思い出すだけで泣けてきそうです。阪妻以外にも吉岡夫人を演じている園井恵子という女優の美しさ、それは外見的なものだけでなく、内面的な美しさと人間としての美しい心にわたしゃ、完全にやられました。この映画の後、戦争によって亡くなってしまったと聞かされたけど、本当に残念だなあ!としか言えません。それともう一人、吉岡夫人の子供を演じている沢村アキオ(後の長門裕之)の名演技も忘れることは出来ない。それにしてもこの映画が撮られた頃って、日本は戦争の真っ最中だった筈!そんな時代にここまで人情味のある優しい気持ちになれる心温まる映画を撮った稲垣浩監督をはじめ、これほど泣ける素晴らしい作品を書いた伊丹万作という脚本家に加え、この映画に関わった人達、全員に拍手!文句なし満点です。 【青観】さん [DVD(邦画)] 10点(2007-05-06 18:46:35) (良:1票) |
3.劇中、涙を二度以上滂沱した映画は、本作が唯一。松五郎がひたむきに韋駄天走りする運動会、そして美しきラストの回想シーン。ズタズタにカットされていながら尚、この出来と云うから驚嘆する。この作品で阪妻こそ日本映画俳優の頂点だと確信し、園井恵子を原爆で失った憤りを改めて痛感する。園井さんの気品に満ち溢れた落ち着きある声音は、いつまでも忘れられない。 【丹羽飄逸】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2006-12-25 19:34:16) (良:1票) |
2.検閲でカットされたシーンを新たに撮影し直した58年のリメイク版と続けて鑑賞。どちらも素晴らしかったが、やはりこのバンツマ版のほうが完成度が高く、宮川一夫の撮影も素晴らしいの一言。吉岡夫人役の園井恵子がビックリするほど美しく、印象的であり、この2年後に広島原爆で亡くなられてしまったことを考えると非常に惜しい。子役の澤村アキオ(長門裕之)も印象的だった。いつまでも心に残る名作である。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2005-03-08 14:03:43) (良:3票) |
1.《ネタバレ》 お二人のレビュー&コメントが実に素晴らしく、既に本作の魅力を語り尽くしている感もある。今更私如きの出る幕は無いのだが、どうしても書かずにはいられない映画史上の傑作だけに蛇足のコメントを加えること平にご容赦の程を。先ず語らねばならない点として岩下俊作の原作「富島松五郎傳」を見事なまでに簡潔にして明瞭なシナリオへ昇華させた伊丹万作の脚本がある。この映像化を念頭に置いた説明的描写を極端に省いたシナリオの存在なくして本作の傑出したクオリティは成り立たなかったと思わしめる出来だ。本来ならば自ら監督したかったであろう伊丹の無念を託されて演出した盟友・稲垣の力強い演出力にも触れなければなるまい。伊丹には生来の病弱を反映するかのように演出が繊細で今一つ迫力に欠けるきらいがあった。つまり本作に関しては稲垣の持ち味である骨太で力強い演出力が見事にそれを補完する形となった訳だ。しかし、伊丹らしさは車軸の回転をあしらった場面転換、据えっ放しのカメラで往来の時間軸だけをスライドさせる絶妙な処理、幼少の松五郎が森をさ迷うシーンの独表現主義を思わせるタッチ、人力車の客が往来に放置されて怒る場面のサイレント喜劇調などに散見される。各シーンに見せる宮川一夫の驚異的カメラワークについてはお二人の繰り返しになるので割愛させていただく。最後に阪妻について。当時の彼は時代劇の大スターとしての地位を既に確立しており、卑しい車夫の役をオファーされた時には大いに逡巡したという。結局引き受けるに当たり、彼は稲垣に「演るからには死ぬ気で演る。その代わりアンタも死んでくれ(その位の覚悟で演出してくれ)!」と迫った。この役者魂!この気概!!これぞ本物の役者というものだ!と胸打たれた。お二人が看破されている通り、阪妻の魅力とは豪放さと繊細さが同時に内在するアンビバレンツさにあると思う。こうした点を踏まえ改めて観るとクライマックスの小倉祇園太鼓シーンやラストの預金通帳が見つかる場面など毎度涙で目頭が熱くなる。悪いが三船版では感動はあっても、こうはならない。以上、例え二度の検閲カットがあろうと本作には満点しかありえない。私の脳内補完では検閲カットも何ら問題にならないからだ(笑)。 【へちょちょ】さん 10点(2004-02-01 12:21:44) (良:2票) |