3.陽気なイタリアを舞台にしているはずなのに全体的に陰鬱な雰囲気が漂う。
光が当たらない陰の男だったリプリーが友達や女が集まる太陽のような眩しいディックに出会い、最初は一緒にいられるだけで良かったかもしれないが、徐々に欲求が高まり最後は悲劇的な結果に陥る。デイモンの戸惑い、憧れ、嫉妬、苦悩が非常に上手く描けている。
しかし運命の悪戯が、リプリーを陰の男から憧れの太陽の男に変化させてくれる。
ただ嘘をつき続けることによって、逆に本当の自分を「秘密の扉」の中に押しやっているようにみえて非常に切なくて苦しい。
ラストのピーターに自分の良さを語ってもらいながら首を絞めるところなんて、本当の自分が何者で何をしたいのか分からなくなっている感が上手い。
キャスティングも豪華でブランシェットのお嬢様役もかなりいい。
デイモンも良かったと思う、ボート上で告白した後の「オマエは退屈だ!」のセリフを聞いた後の渋い顔をしたデイモンは忘れられないね。
ちなみにオリジナルは見てません、見てないほうが比較しなくていいので楽しめるのかもしれない。