1.《ネタバレ》 頭の中のうるさい声に悩まされ、不眠・過食・食べ吐きを繰り返すアルコール依存症の文化系の女がホワイトデーの雪の夜にコンビニで自分とは対極に位置する元ヤン風の若いトラック運転手に直感的に惹かれる。他に主要な登場人物はいない。話はその二人の行きずりの短い旅が、主人公の視点で進められていく。 頭のなかの声が暗転した画面に文字として映し出される。主人公が実際に発声した言葉、頭の中の声、口に出さない独り言の声、エンジンの音、カー無線の会話、ブレーキ音、周囲の音、自然の音、効果的に使われる音楽、そして文字… これでは観る人によっては、うるさく感じられるのも無理からぬ…。 私は寺島しのぶという女優が好きではない。陰鬱な表情もそうだが彼女の持つ雰囲気も、メディアで体当たり演技とか言われて、裸シーン請け負います的な女優としてのスタンスと舞台女優ティストも。この映画は小説の世界をそれ以上でもなく、それ以下でもなく、映像で具現化しようとしたのだ。そのためには吐くシーンや排尿シーン、性描写も映画にリアリティーを与えるには不可欠だったのだろう。おそらくその試みは成功している。排便シーンがあったらもっとその実存主義は徹底すると思ったけれど(笑)。ろうそくイベントの場面は画像の違いがそれ以外の場面とハッキリとした違いがあって後から編集で挿入したという違和感を感じずにおれない、せっかく美しいシーンなのに惜しまれますな。
別れのコンビニで男が見せる寂しげな表情、女が凛として見送る。「自分がいいものになった気がした」人は好きだとかいわれると、ただそれだけでも、そう思ったりするものなんだよ。 最後の最後のシーン、ひとりコンビニのレジ前で支払を済ます女に切なげな表情が浮かんだ。私は言う「あとで後悔するんだから携帯のアドレスか電話番号を聞いておけばよかったのに!」(笑) 個人的には、食堂でのシーンがいちばん好きです。静かな二人の会話…。男が食しているのはカツ丼でしょう?私の好物なので1点をプラスして総合得点7点。だったのだが。。。。。心にひっかかる映画なので何回か観た。原作の小説は読んでいないが、コンセプを納得した。訂正で、10点、いい映画です!