1.《ネタバレ》 ロックギタリストが津軽三味線に魅入られ、演奏でバトルする…「クロスロード」みたいなお話を想像して見に行った。でも、この映画、音楽とそれに魅入られた人にまつわるお話なのに、三味線という弦楽器だけでなく、根本的に「音楽」という存在自体に対する敬意みたいなものが欠けている気がする。ひどいのは主人公と対決する悪魔の(?)三味線弾きの扱いよう。あの役の人はどうやら有名な本物のプロらしい。そんな人にあんなヘンテコなメイクまでさせて、道化にする必要があったのだろうか。所々に出てくる狂言回し役のような歌うおネエちゃんや挿入されるアニメーションも意味不明で見ている側の集中力をそぐ。ベタなギャグも滑りまくっていた。主人公が津軽三味線に引き込まれる動機も不純だし、あんな適当な練習でギタリストの運指が短期間に三味線に適応できるのかな。ただし、悪魔の三味線弾きをはじめ、演奏の技は本物。それだけに、世界に誇れる日本の弦楽器の神髄をもっと見せてほしかった。リスペクトした上で、それをコメディで扱うなら「スクールオブロック」や「クロスロード」みたいな肩の凝らない音楽映画になったと思うが、この作品はただ茶化しているだけに思えた。見ていて不愉快にすら感じた。