2.《ネタバレ》 あまりのつまらなさに驚愕した。元々テレンスマリックは説教くさい映画ばかり撮っていて評論家ウケはするけど自分とは相性が悪いとは認識していたが、ここまで好き勝手にやるとは思わなかった。これは単なるキリスト教のプロパガンダ映画。スピリチュアルな方向は全て神に向かい、自らの内面や人間関係の実相は結局何かよくわからない光の中に集約されてしまう。それなら何を描いても同じではないか。一体何を描きたかったのか、何をあの家族から引き出そうとしたのか。私はそれが「生きること」とか「生命の枝葉としての方向性」なんて漠然としたものでは納得できない。最初の30分は何だったのか。宇宙の誕生、地球の形成、生命の誕生。その悠久のときを幻想的に描くという意図であるなら(自分はそう解釈したが)あれだけの時間をかけてそれだけしか表現できないのは無能であるとしか言いようが無い。高評価には正直驚くが、無内容であるからこそ高く評価できる余地も生まれるのだと思う。勿論この無内容は比喩的な意味で、テレンスマリックのキリスト教的祈り、思想の吐露であるに過ぎないという意味である。観る側に自由を与える、とか解釈の余地を与える、とよく言われるが、これは自由に解釈させているわけではなく、無内容なだけである。これを観てどうしろというのか。極度に宗教的な世界観、歴史観を延々と見せ付けられるのは苦痛でしかない。やはりテレンスマリックの自己満足的な思想表明に共感できるかどうか、受け入れるかどうかがこの映画の評価の分かれ目になると思う。それにしてもタイトルのわりに「水」のモチーフが圧倒的に多いこととか、予告編はもう詐欺のレベルであることとか、いろいろ不満はあるけれど、きつかった。