8.《ネタバレ》 絢爛豪華な出演者たちに比べて、何とお粗末なシナリオであることか。ルパン三世のテレビ映画シリーズ並の荒唐無稽さに加え、開き直りとも取れる「トンデモご都合主義」に彩られた駄作娯楽映画。これならまだ前作の方がはるかにマシ。
「謎の大泥棒ナイトフォックスとの対決」という設定には期待させられるものの、結局ただの肩透かしで終わる。と言うか、あんたらまともに対決してないじゃん!
とにかく意味不明な部分や無茶苦茶な設定が多すぎる。
天才的な大泥棒の集団かと思いきや、あっさりベネディクトに見つかって脅しに屈するヘタレ集団だし、担当の女刑事と伝説の泥棒が親子という後付け設定も無理がありすぎ。しかも、そのコネ(?)のおかげで卵を盗めて、フォックスを出し抜けたというのだから、呆れ果てる。
それに、そもそもフォックスが泥棒同士の暗黙の掟を無視してまでオーシャンズに一方的に挑戦し、「オレに勝ったら金を全額払ってやる」と「向こうから」言い出してくれて、さらに「正直に払ってくれた」から良かったものの、フォックスがいなきゃ、いまだに金を払えずにいたんじゃないの?娯楽映画だからこそ、ここは真っ当に勝負させろよ!
おまけに業界人の自己満足としか思えない「ジュリア・ロバーツが本物のジュリア・ロバーツに化ける」と言う、下らない作品内パロディや、「実はカポエラでレーザーを避けたんだぜ、スゲーだろ」という「何それ?」と言いたくなるパープリンな種明かしなど、他にも突っ込みどころや意味不明な部分は数多い。
娯楽映画として力を入れる部分を間違えている。こんな観客を無視した肩透かし的なシナリオに対して、「監督が観客に仕掛けたコンゲーム」と好意的に解釈できる人が羨ましい。いやマジで。