2.《ネタバレ》 結婚式で花嫁に逃げられたウェディングシンガーのロビーはやけになって他人の結婚式で乱闘騒ぎをおこす。 この不幸なロビーも最後にとうとう運命の女性と結ばれることになり、ラストは感動的な2人の結婚式がある。この幸せ絶頂の瞬間に、1人の男がやって来てロビーたちの結婚式を台無しにしたら彼はどう思うだろうか? たとえ、この男がロビーと同じく大きな失恋をして自暴自棄になっていたとしても同情はできないだろう。 八つ当たりは良くない。 ましてや彼はウェンディングシンガーという職業柄、そんなことは一番よく分かっているはず・・・と思うのだが、じつはぜんぜん分かっていない。その理由は自分の仕事に誇りを持っていないからだ。 この映画からは彼がどうしてウェンディングシンガーをやっているのかということがまったく見えてこない。他人の最高の幸せの瞬間を祝福するという仕事に名誉を感じているわけでもない。その気持ちがあったらあんな真似はしなかっただろう。 彼はたんに自分の生活を維持するための賃金を稼ぐためにたまたまウェンディングシンガーをやっているだけの普通の人間だ。 だから別に彼がムリにウェンディングシンガーである必要はなく、銀行員でも魚屋さんでも全然平気なのだ。それでも物語りは成り立つだろう。 しかしもし彼が銀行員をやったとして映画のタイトルを「銀行員」にしても受けは良くないだろうから言葉の響きのいいウェンディングシンガーにした。 けっきょく最後までウェディングシンガーという職業が意味を持つことはなかったと思う。 もし意味があったとするならば、あの飛行機の場面だ。自分の恋を祝福するためだけのウェンディングシンガー!