1.あらすじで書いたように、本作は非常に意義深い作品です。しかし内容はとるに足りません。当時は『スターウォーズ』に匹敵したかもしれないこの10分間も、21世紀の現在、観客を楽しませることはまず無理でしょう。さて、こういう映画をどう評するべきでしょう。現役のソフトとしての能力に乏しい以上、1点をつけざるを得ないというのが私の考えです。私は私の感想に基づいて採点しています。私が10点をつけた作品は、私が現在観賞した上で、横綱に相当すると判断したものです。そこに歴史的意義、名作度が入り込む余地はありません。それらは私と作品の一対一の関係を阻害します。私のレビューは、私自身の責任において述べる「感想」であり、映画史の「評論」ではありません。映画史上に残る名作を選んでいるのではないのです。ですからこの「1点」には、歴史的意義も名作度も一切入ってません――採点上は。さて、ここで特筆しておかなければならないのは、いま「採点上は」とことわった中身に関してです。そもそも「老人が現役としての能力を失っている」という状況と、「彼の業績をリスペクトする」という行為は、全く別次元の話でしょう。私は『大列車強盗』を作った人を尊敬しますし、その価値(先駆者としての業績、資料性、骨董価値)を大いに認めます。それでいて1点をつけることは、私の中では矛盾しません。『大列車強盗』は神話の時代の偉人であっても、私が選ぶ精鋭としては、老人である彼はとても戦力にはならないと思うからです。このように、自分の感想と他人の評価を常に分けて考えないと、「歴史的名作だから」という理由で、正直な採点が出来なくなる可能性がある。私はそれを避けているのです。