1.この作品を好意的な評価で迎える人はカナリの映画ファンなんだろうなぁ。僕みたいなド素人にはこの作品の良さがサッパリわかりません。この作品は娯楽作品ではなく、芸術作品だと思う。スコセッシの作品は雰囲気を楽しむものだというのはよくわかってるんだけど、伝わらない。自分にとって映画という文化は娯楽文化であって、それ以上でもそれ以下でもない。「わかる奴だけわかればいい。」っていう心境が見てとれる。けれど、やっぱり僕は芸術の観点からだけで映画を楽しめることはできない。もちろんスコセッシのような監督がいても良いと思うし、むしろいるべきだと思う。ある意味タランティーノより自己流だ。一応、娯楽映画としての観点からレビューをしておこう。若くして成金となり、飛行機や映画という夢を次々と成功させたハワード・ヒューズの一生を描いた本作。しかし、サクセスストーリーの要素は少なく、大半が精神障害に悩んだヒューズの晩年を描いている。他サイトなどを観ていても「無駄な描写が多い」という意見が目立つが、一人の人間の半生を描いた作品としては、三時間弱という長い時間の中に無駄な描写は一つもない。では何故そのような意見が目立つか。僕が思うに、多くを描きすぎてメッセージ性に欠けてしまっているのだと思う。良かった点は、やはり役者の演技力。特にケイト・ブランシェットはオスカーを獲得しているだけあり、見事にキャサリン・ヘップバーンという大女優を演じ切っていた。ディカプリオも数年のうちに獲れるでしょう。今年はその他が強すぎた。しかし、本作が作品賞も監督賞も逃したということは、本当にアカデミーはスコセッシを嫌ってるんだろうなぁ。どこをどう観てもアカデミー好みなのに。さすがにその点は不公平か。