2.《ネタバレ》 6点の素材を1点に演出した若松孝二とは何者なのか?
決して好きな監督ではないが深作欣二なら6点7点の演出が出来ただろう。
これだけの素材を、この監督は冗長で退屈なほぼ0点の作品に仕上げてしまった。
若松監督は高校中退で成人映画出身、それも左翼アナーキストとして、映画を蹂躙し
一部の若者を反抗へと駆り立てた謂わば、戦闘的左翼のメインストリームを当時歩んでいた筈である。
その監督が70歳を超えて、あの忌まわしい総括という名のリンチ殺人事件を、それこそどのように「総括」しているのか期待を持って鑑賞した。
その結果が予算の都合もあるだろうが、安っぽく極めて冗長で、拷問のような3時間を強要した挙句、何のカタルシスも与え得ずに、指導部の不条理で独り善がりな論理を明確に評価することなく、程度の低い自己満足の(出演者だけが喜ぶ)演劇映画の出来である。
グロテスクで胸糞悪いリンチシーンが、そこだけまるで、彼が作ってきたポルノのサービスシーンのように執拗で、この監督の悪質性が際立つ。デリケートな人は鑑賞を避けたほうが良い。観るに値しない駄作なのは間違いないのだから。
これがキネ旬3位というのがすごい話だ。1点を歴史的事実の重みに。