1.《ネタバレ》 走るゾンビ以上に驚かされたのは人間たちの知恵の足りなさだった。ゾンビに囲まれたビルの屋上でSOSと壁にらくがきしていたが、そんな原始的なことをせずに携帯電話を使って助けを呼べばそれまでだ。 それに携帯電話を持っているなら向かい合うビルにいる人間とチェスするときも、わざとらしく紙に文字を書いて意志の疎通をしあう必要もない。 まるでゾンビ並みに知恵が回らない人間たちに唖然とする。 そもそも情報化の今の世の中でこのような設定で映画を作ること自体にムリがある。 さらに知恵がないだけではなくてモラルも持っていない。 あのゾンビを笑いながら殺しあうゲームをしているときは気分が悪くなった。 ゾンビと同様に人間たちも非人間的だったということ。 さらにあのゾンビ化した女性から生まれた赤ちゃん。 恐る恐る赤ちゃんの様子を確かめようとする主人公の場面。もちろん観客は赤ちゃんがゾンビではないかと思いながら見ている。 そのときになんと健康な正常な赤ちゃんだったらその意外さに驚き、そして救われたことだろうか・・。結果は当たり前のつまらないものだった。 こういう何気ない場面を見て、つくづく監督は最初からすべてを皆殺しにするつもりだったのだろうと思う。 モラルも人間性もなく、「殺す」という行為を楽しんで眺めるためだけの映画。 まったく救いがたい。 ゾンビが走るのが良くないとか歩くのが良いとかそんなつまらないことを考える余地が無いほどくだらなさが目立った。