1.《ネタバレ》 中世ヨーロッパの甲冑を纏った騎士団が現代兵器と戦うおバカ映像をテレビ番組で観た記憶があり、思わず借りてしまった。……不覚だった。
あらすじをそのまま映像化したのではないかと疑わしいほどの足早な展開は、とてもじゃないがプロの仕事とは思えない。それなりの見せ場になりそうな部分でも必ずなにかしら仕出かしては着実に台無しにしていく。日本のヒーロー戦隊ものの匂いがそこかしこにするのだけれど、それらより一回りも二回りも薄っぺらいドラマを創り上げているのは驚異としか言いようがない。確かに特殊効果は努力が感じられるのだが、それ以外があまりに不毛だ。
若手芸人並みのオーラしかない出演者達には、鑑賞しながら同情の念が湧いてきた。どうしてこんなことに? いったいどこでこの人たちの人生は狂い始めたんだろう? クライマックスでのヒロインの台詞(「わたしが死んでも愛は永遠よ」)に、別の意味で涙腺が決壊しかけた。
監督は元コメディアンだというから、もしかするとこれは手の込んだジョークなのかもしれない。しかしそう思ってネット上でインタビューを見つけ出してみたら、怪獣映画への情熱をそれはまあ嬉しそうに語っていて、なんというかもう、頭を抱えた。C級ホラー『案山子男』のメイキング(本編よりホラー)を観てしまったときにも似たような感覚になった。監督は製作のトップに携わろうなんて欲は抑えて、特殊効果の専門家として腕を磨いてはどうだろうか。