3.《ネタバレ》 この程度の戦略と軍事力で他の星を侵略しようなんて、百年早いと思いますよ。勿論「この程度」のお陰で、米軍の通常火器と五分五分のいい勝負になっちゃう訳ですけれども(日本の自衛隊は、宇宙人の侵略から日本を守るための軍隊であれば、憲法違反ではない。らしい)。最新兵器による市街戦を描きたい、でもこの今の時代、明確な敵国は設定しづらい、そうだ今の軍事力をもってすりゃ宇宙人とだって戦えるぜ、宇宙人ならいくらぶっ殺したっていいしな、ってな感じ。でもでも。ロメロは“ゾンビ”と称して、人間を虐殺する映画を作ったし、『ブラックホーク・ダウン』だって虐殺を描いて見せ、そこには何とも言えぬ苦みがあった。宇宙人だからいくら殺したってイイだろ、ってのは実に甘いし、ましてその宇宙人との戦闘がこんな「いい勝負」だなんて、実にヌルいと思います。それにこの映画、驚く程にサスペンスが欠落しているんですが、ワザとやってるんですかね(だとすれば欠落ではなく排除だが)。でもサスペンス無しで、そこに一体何がありますかね。戦闘のリアルさ? リアルな戦争とは、映画みたいにサスペンスに満ちたもんじゃなく、面白おかしいもんじゃなくて……こんなダラダラと単調で退屈なもんだとでも言いたいんでしょうか?リアルなんだからガマンしなさいってか? 局地的な地上戦を徹底して描き、戦局全体を敢えて描かないことで、臨場感を演出しようというのが狙いかも知れないけれど、だから空間軸が不明確なのは狙い通りかも知れないけれど、時間軸まで不明確になっちゃってるのは、もうこれはテキトーとしか言いようがない(バスに乗り込むシーンの描写の適当な端折り方)。一体何が描きたいのか、そもそも何か描きたいことが、あるのか? あとそもそもこの映画って「リアル」なのか? 質より量のCG乱れ撃ち。UFOが出てきて「制空権を奪われた」と嘆いている能天気さに苦笑しちゃうし、宇宙人の弱点を探るのに獣医さんがノリノリで登場するのにも笑っちゃう。ラストの「司令船ぶっ壊して一発逆転」に至っては、これはもう完全にマンガ、リアルどころか、懐かしいノリにむしろホロリと来ちゃう。いや、題材的にはキライじゃないんです。五分五分の軍事力にしたいんならそれでもいいんです。ただ、それだったらせめて、敵に取り囲まれろ、籠城しろ、そして夜になって暗闇と闘ってみろ、と。 要するに、もっとサスペンスを!!