3.煮込み料理なのに煮込み不足だった・・・個々の具材は良いのに、煮込み不足で味は染みてないわ、ガリガリ硬いわ・・・そんな感じです。
物語の背景が複雑、登場人物・機関も多数になりがちな社会派サスペンスでは、主人公を中心に物語を展開していくのがノーマルな手法だが、本作はあえて群像劇的なスタイル(パルプフィクション等と同様)にて社会派サスペンスを展開させ、且つ、説明する時間が不足している為、観客は完全に置き去りです・・・大別して3つの物語がありますが、それぞれ70~90分要する物語を、半分かそれ以下の時間に圧縮し、且つ、細切れにして配列した為に複雑怪奇なものに仕上がっている。
以下は完全に個人的な予想です。監督及び脚本は共にスティーヴン・ギャガンですが、彼は本質的には脚本家で、現状では監督として力量不足ということではないかと思いますね。
脚本段階では、かなり練り込んだものになっており、アカデミー賞に相当するものだったかもしれない。しかし、実際に撮影を始めて編集する段階では、脚本を100%表現するには250-320分の大作になってしまうので纏めようとしたが、結局うまく纏められず、不完全燃焼なものになってしまったのではないかと。
有り得ない話ですが、今作を踏まえた上で、彼が同じテーマで、再度脚本から作り直して監督したなら、かなり上質な映画が出来そうな雰囲気はありそうなだけに残念です。
ともかく今作に関して言えば、完全に失敗で、監督&脚本家の自己満足に終わってしまったので、次回作に期待ですかねー、それでだめなら、監督向いてないかも・・・