3.《ネタバレ》 アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされており、評判もかなりいい映画のようなので、恐らく世間一般的には良い映画なのだろう。
しかし、個人的には恐ろしいほど相性が悪かった。見ていて「オマエラいい加減に話進めろよ!」と怒りが何度もこみ上げてくるほどの苛立ちを覚えた。
「12人の怒れる男」というよりも、「12人のイカれた男」ではないかというほど、クレイジーなやり取りが繰り広げられているとしか思えなかった。
タチが悪いことに、オリジナルのネタを下手になぞっているから、怒りがさらにこみ上げてくる。
オリジナルも日本版は好きなのに、ロシアのリメイク版には何一つ良さを見出すことができない。
事件の本題にはほとんど触れずに、勝手に自分の話をして、話が終わったとたん、いきなり「無罪」に変えるといわれても、「はぁ?」としか感じない自分の見方が悪いのか。
なぜ「無罪」に変えるのかがオリジナルに比べて、何一つ理解も共感もできなかった。
本作は陪審員制度を通して、陪審員のそれぞれの思想やバックボーンなどが自然と明らかになり、国が抱える問題点や闇が浮き彫りになるという仕組みではなくて、それぞれが自分のことを事件とは関係なく喋っているようにしか思えない。
訳の分からないロシアのおっさん達が自分の悩みをぶちまけて、演説を単に繰り返しているようにしか感じられない映画を自分は評価することはできない。
また、彼らは“議論”をしているというよりも、根拠も証拠もなく、ほとんど推論と思い込みだけで一方的に話をしているとしか感じられなかった。
とてもではないが、知的な会話や、高度のやり取りがあったとは思えない。
ロシアという国は陪審員制度とは相容れない国であるということを伝えようとしているのならば納得できるが、恐らくそういう趣旨の映画ではないだろう。
オリジナルとは異なるラストも結局何を伝えたかったのかが理解できない。
有罪を超越した「有罪」という概念は素晴らしいが、落とし方がすっきりしない。
結局、彼らは偽善者だったということか(ホームレスを世話しているのならば、面倒みられないのか)。
また、何度も繰り返し描かれる犬のシーンと、少年をイメージしているつもりの鳥のシーン、少年のダンスシーンもうざいとしか感じれらなかった。
恐らく見方を完全に誤っていると思うが、こういう見方をする人もいるということをあえて伝えたい。