3.《ネタバレ》 つくづくこの手のアクション系の吸血鬼映画はセンスが無い。「アンダーワールド」や「ドラキュリア」、「ブレイド」もそうだけど、とにかく「吸血鬼や狼男のキャラ描写」やアクション演出がヘタクソ!何かと言えば、肉食獣みたいに牙を剥いて「シャーッ」とか「ハーッ」とか唸ってるだけでカッコ悪いのよ。肝心の伯爵は「ロン毛が似合わないおっさん」にしか見えないし、吸血鬼として「闇と血に生きる者」の妖艶さや悲壮さ、それでいて気品に満ち溢れた「貴族」のような華麗さを併せ持つ「危険な不死の魔物」という凄味をまったく感じない。ハンターであるヴァン・ヘルシングの見た目もやはり「むさ苦しいおっさん」で、「人間でもなく魔物でもない存在」の悲哀がまるっきり出ていない。
アナ王女にしても、ヴァンパイア・ハンターの一族の末裔のくせに特殊能力も無いし、体術に優れている訳でもないし、使う武器にすら対吸血鬼用の改造も見られない。今までよく生き残って来れたな。
結局、アクションシーンを連続で見せられても、その演出にセンスが無いのでダラダラとした印象しかない。CGによる戦闘シーンは動きが軽すぎて吸血鬼や狼男といった「人外の者」のパワーやスピード感が感じられないし、おまけに女吸血鬼はアホみたいに不注意。
わざわざフランケンシュタインやハイド博士などを出す必然性も無し。夢の共演という「お祭り」がしたいなら、もっと彼らにも活躍させないと意味が無い。
こういう作品を見ると、同じ「吸血鬼」を題材にしていても、やはり日本の漫画やアニメなどは、ストーリーや吸血鬼のキャラクター性、アクションの演出にも独自の工夫とセンスがあり(「ポーの一族」、「ジョジョの奇妙な冒険」、「トリニティ・ブラッド」、「HELLSING」、「吸血鬼ハンターD」等々)どれもレベルの高い世界観や独特なキャラクターを確立しているが、海外の作品にはいつまで経ってもそういう発展性が見られない。
アクションをメインにした「娯楽映画」として撮っているにも関わらず、いつまでも原作の前時代的なイメージを引き摺っているからか、ちょっと演出を変えた程度の思い切りの無さのせいで、どれもゴシックホラーとしても、娯楽アクションとしても中途半端な作品ばかりでウンザリ。