1.どんなジャンルのどんな映画でも、例えそれが短時間のチョイ役でも、確実においしいところを持って行く、自分にとっては最強の助演俳優であるエドハリスを主演に据え、増してやメガホンまで取ったとなっては、期待も高まろうというもんだが、これが期待を大きく裏切る失敗作。圧倒的な存在感を保ちながら、主役を食い潰さないように引くところは引くエド・ハリスの演技力にいつも感心させられていたが、この映画のエド・ハリスは、ただのダミ声のオヤジで、騒ぎ立てるか元気が失くなっているかのメリハリをつけるだけの二択演技。作品としても凡庸で、この手の、天才と狂気が紙一重の芸術家を題材とした映画としては、オリジナリティーは無いに等しく、残念ながらエド・ハリスの監督としての力量の限界も見せてしまった。名脇役名主役ならず、というのを教えられた。