3.《ネタバレ》 残念ながら、脚本の出来が良くないと感じました。まず、多くの方が指摘しているように、主人公二人のキャラクターが描かれていないため、魅力が全く表現されていないと思います。また、敵方のキャラクターも同様に描かれないまま、突然各々が自己主張を始めてしまうという、中途半端なドラマが全編を覆っているため、ストーリーにも魅力を感じませんでした。
冒頭の喧嘩のシーンをはじめ、行き当たりばったりで目的もよく判らないまま、犯罪が進んで行くため、緊迫感や爽快感が無く、退屈な展開が続きます。
やはり、どんな理由で金が欲しいのか?なぜ子供が欲しいのか?なぜ汚い仕事を続けるのか?といった、人間の欲望や行動理由が描かれていないため、底が浅いドラマになっていると思います。
ラストの銃撃戦がリアルだといわれていますが、リアル=面白いではないと思います。やはり、人間と人間が戦うという事は、そこにもドラマを求めてしまうものですから。弾数や銃の扱い方よりも、人間の思い、行動、感情が観客の心を動かすのではないでしょうか。
細かい点で気になった所は、1.誘拐のシーンで一旦逃げる主人公たちを、なぜボディーガードたちは撃たなかったのか?2.その後、なぜ主人公たちは戻ってきたのか?ボディーガードたちよりも先に外に出たのに、入り口近くにいたのもおかしい。3.医師のカバンを主人公の一人がチェックしたのに、なぜ拳銃を見逃したのか?4.主人公たちは狙撃銃など多数の武器をいつのまに手に入れたのか?などでした。
好きな人たちには申し訳無いのですが、結論としては「才能があるかもしれない監督の、ひとりよがりの作品」といったところでしょうか。監督の以降の作品が聞こえてこないのも、この作品が評価されていない証といえるのかもしれません。