1.《ネタバレ》 たった独りで無人島に漂流した若い男と、腹に溜まった腐敗ガスによって常に〝おなら〟が止まらない一体の水死体。あろうことか、男はその水死体に跨ると腐敗ガスを動力として島からの脱出を図る。その「水死体ボート」の力で何処かの海岸へと辿り着いた男は、その命の恩人である水死体を担ぎ、人の姿を求めて深い森の中へと分け入ってゆく。すると、死んでいたはずのその水死体が何故か彼に話しかけてくるのだった――。心に闇を抱えた孤独な男と喋る水死体との決死のサバイバルを不条理な展開で見せるシュール・コメディ。という設定だけ聞くと超おバカな映画のように聞こえるし、実際海の上をおならの力で疾走する冒頭のシーンから下ネタ全開でけっこう振り切れたそのエピソードに摑みはばっちりでした。でも、この映画のピークはその冒頭10分のみ。その後は中途半端に哲学的かつシュルレアリスムな展開になるのですが、これがまあ独り善がりもいいところ。正直言って監督やスタッフ、俳優たちが内輪のみでこの悪ノリを楽しんでるだけで、映画としては非常に出来が悪いとしか言いようがありません。もう完全なる出オチ映画でしたね、これ。見事なまでに全部のネタがすべっちゃってます。率直に言って、この作品は映画としての枠組み(主題)が全く固まっていないので、その中で何をやられてもまるでノートに書かれた落書きを見せられているようなもので面白くもなんともありません。死体役を演じたダニエル・ラドクリフ君も「どうだい?ハリー・ポッターイメージからの脱却に苦しむ僕が迷走の末、こんなキワモノ役を演じちゃってるぜ。どうぞ、みんなで笑っちゃってくれ」という自虐的な思惑が透けて見え、なんか痛々しくて逆に笑えないんですけど!まあ時間が短かったのと、つまらないけれどそこまで腹立つほどでもなかったので、ぎり2点で。