2.《ネタバレ》 あの宇宙人たちは未来が分かり、3000年後に自分たちの星がえらい目に遭うから、地球人に助けてもらいたいので、
今のうちに地球人に”武器”を与える。
その武器とは抽象画みたいな墨文字。
それが読解できるようになると、未来が分かるというシステムらしい。
「さぁ人類の皆さん!ぜひ我々の言語をマスターして、その力で無事3000年後まで生き延びてくださいね♪」
かくしてあの言語の解読に成功したヒロインは、未来が見えるようになりましたとさ。
めでたしめでたし・・・ってなんじゃそらああああああッ!!!!!
つまらない。
いやほんとつまらない。ツッコミどころ満載。
特にあの宇宙人のタコ。ふざけてる。なめてる。
墨出して一緒にお話ししましょとか、もうコレってギャグの領域。
ヘプタポッドだと?
7本足で、ヘプタは7を意味するからヘプタポッドっていうのは、オクトが8を意味するから8本足のタコがオクトパスっていうのっぽくて面白いでしょみたいな、タコ偏愛主義者の自己満足なムードがイライラする。
そもそも未来が分かる言語を人類が理解できるようになったら、ヘプタポッド語の参考書とかドリルが出てバンバン売れちゃうだろうし、
カルチャーセンターで”ヘプタポッド語講座”で教えたりして世界中の人々が未来が見えるようになっちゃったら、占い師は全員廃業でしょう。
宇宙人どもは未来危機に陥る自分たちを助けて欲しいから地球人に未来予知能力を与えたけれど、
人類にとっちゃぁ、よそ者の宇宙人のことより
未来予測を使って金儲けに走るだけに決まってる、っていう未来を読めないのかこの宇宙人ども。
ヒロイン以外のジェレミーとウィティカにも、きっと何か後ですごい働きするって期待してたんですけど、特に何もなく。
存在感も薄い。
それこそジェレミーは「28週後・・・」での滅私的な活躍に涙しましたし、ウィティカは「パニックルーム」みたいな、優しい黒人を演じさせたら光るしで、この二人が軍人側として登場するなら、絶対、ヒロインを守って何かやってくれるぞ、と、タコに失望した自分は彼らに望みを託して期待をしていたのですが、最後まで特に、何もなく。
全体的に静かな雰囲気ですが、静かすぎて
「あなた、何を期待していたんですか?宇宙人とのファーストコンタクトの話しだと思ってたんですか?言語読解のプロセスで魅せる映画だと思ってたんですか?これは、もっと内省的な作品なんですよ・・・フッ」
って言われたようで、イライラする。
未来を知ったヒロインが、ジェレミーと結婚してもいずれ離婚することも、子供が生まれてもいずれ病死してしまうことも分かったうえで、あえてその未来を受け入れるという姿を見せ
「ヒロインのこの選択すごいでしょ、あなたにはできる?考えてみてよ。どうなの?え?」
っていうのが、この映画が言いたかったコトなわけですが、彼女の決断すごいでしょ、なかなかできるもんじゃないでしょ、というこれみよがしな主張も、それと価値観を同じにする人たちでなければ共感できない主張。
いや、私だったら、あえて別離ルートなど選択せず、
別のひとと結婚して、健康な子供を産んで孫まで抱きたいと思いますがね。
実際にもう生まれてきてしまった後ならば、誕生後に余命を知ってしまっても、生まれてきた以上は腕に抱く子に愛着が芽生え育っていくから、生んだことを後悔しないけれど
まだ頭の中に見える未来図の映像としてでしか見えていない子供に愛着は生まれないだろう。
実際におなかに9ヶ月宿して苦しんで産み落として、この腕に抱き触れ合ったわけではないので、特に思い入れは生まれないはずだ。
そのあたりの女の思考回路を分かっていない、でも女の思考を分かってるつもりでいる、母性を神聖視しすぎちゃってる男の原作者が勝手にイメージし、提示する”母性”は、まったくリアルではなく、妄想と虚像でしかない。
淡々としたSF映画で思い出すのは「ガタカ」で、あちらは相当お気に入りだが「メッセージ」は思わせぶりなだけで説得力もなく、トリッキーなパズル構成とスノッブなところだけがハナにつく。
ヒロインの娘の名前がハナだけにね。