5.《ネタバレ》 アメリカ合衆国建国200年に合わせて製作された、60~70年代に流行ったオールスター・キャストの戦争映画、そう言えば『遠すぎた橋』を最後にこの手のオールスター戦争映画は過去のものとなってしまいましたね。たしかにアメリカ海軍側はオールスターと呼ぶに相応しい顔ぶれですが、日本側は三船敏郎の他は日系人俳優ばかりでしかもセリフは全部英語。そして驚くべきことはこの“超大作”が撮影期間わずか二ヶ月だったということ。その後編集作業に一年近くかかって完成、つまり観れば判るように膨大な流用フィルムをつなげる方が大変だったというわけです。私が判るだけでも『東京上空三十秒』『トラ・トラ・トラ』『太平洋の嵐』、そしてなんと『空軍大戦略』まで使われています。さすがにこれは機種が確認できないようなロング・ショットの空戦シーンですが、戦中の実写フィルムまで含めてつなぎ方はデタラメ、この映画で新規に撮影した戦闘シークエンスはミッドウエイ島の爆撃だけみたいです。まさに“アメリカ海軍機映像の福袋状態(by上坂すみれ)”でございました。実際、ジャック・スマイトが監督した部分は上映時間の三分の二に満たないぐらいなんですからね。使われた空母も当時は練習空母だったエセックス型のレキシントン、この一隻でアメリカ3空母日本4空母のふりをさせる、それも映すアングルとテロップを替えるだけで済ますという荒業です。これはもうオールスターたちのギャラで予算を使い果たしたのは見え見え、というか製作者側の志しがちょっと低すぎるんじゃない? いちおうチャールストン・ヘストン親子のドラマという要素も盛り込んでますけど、とってつけた感は否めずです。脚本を書いた人はTV畑の人みたいで、本作にはTV放映版も存在しているらしく、たしかにスペシャルTVドラマという感じもしますね。まあ70年代ハリウッドを代表する底抜け超大作であることは確かです。