1.《ネタバレ》 とにかく中途半端。中途半端な悪人に、中途半端な変人に、中途半端な謎に、中途半端なサスペンスに、中途半端なファンタジーに、中途半端なコメディに、中途半端なハッピーエンド。好きな人には申し訳ないけど、はっきり言って、私の一番嫌いな「中途半端」の集大成としか言いようがない。
「遺産目当ての連続殺人」という設定だけは、やたら生々しいのに(何人も死者が出ているし、その殺され方も残酷)、コメディやファンタジーという大義名分のもと、妙に軽々しくオチャラケた見せ方にしてしまっているので、子供たちの置かれた状況にまるで絶望感や緊迫感が感じられず、根底にある「不幸を乗り切って成長する」という肝心のテーマそのものに説得力が無くなっている。
「変人の家をたらい回しにされる」というストーリー展開も面白くなりそうなのに、実際に見てみると非常に平板で退屈。変人と言っても、その「変人ぶり」がこれまた中途半端だからだろう(やたら怪我や事故に対して病的に神経質な女性が、崖の突端の今にも崩れそうな家に住んでいるというのは、やはり笑うところなのか?)。もっと常軌を逸したキャラクターや住まいを造形しないと、この手のファンタジー映画のキャラクターとしては弱いでしょ。
また、彼らの「特殊能力」にも魅力が無く、作中での活躍もあって無いようなもので、これまた中途半端。もっとそれぞれの能力を駆使して苦難を乗り越えるシーンがあるべき。赤ちゃんがやたらヒネくれた事を言うというのもウケを狙い過ぎていて冷める。彼らの演技も妙に淡々としているので、まるで他人事みたいで切迫感が感じられない。
とにかくファンタジーと現実要素のバランス配分が中途半端だし、今どき「子供に厳しい境遇を与えて、それを乗り越えさせれば感動が生まれるだろう」と言う脚本が安易過ぎるんじゃない?やるにしても「乗り越えさせる苦難」にもっと工夫やインパクトが無いと。
唯一、影絵のようなスタッフロールのセンスが良かったのみ。