7.《ネタバレ》 いろいろと釈然としない映画。不運によって命を奪われた死者に語らせること(しかも生者の想像で)は、死に対して不敬な感じがする。ましてやこの話は女の子に「私は14才で殺された」と言わせる。こんな胸糞悪い思いをさせる以上、この娘の魂が安寧に休まる軌跡を描くべく、制作は全力を注入すべきなのだ。
しかしね、これが「全力で」女の子の死を扱った出来栄えだろうか。そもそも何故成仏(という言葉を使わせてください)しないのか。どんな想いを置き残してきたのか。パパが心配なのか、初デートが果たせなかったことが心残りなのか、少女の想いはどれもうっすらぼんやりと描かれるのはどうして。ここ肝でしょ。
しかもこの子の死後の想いだけでなく、崩壊した家族とその再生ドラマ、さらに殺人犯をいかに挙げるかというサスペンス要素まで盛り込んであるので当然尺が足りない。結果描写は浅くなる。お陰でS・サランドンは奮闘虚しく話から浮いているし、R・ワイズは自分の悲しみを優先して家族を放擲する自己中母さんになっている。ついでながら「天国」の画もありがちなテカテカにキレイなCGで好きではない。
こうも不満が溜まった折りも折、犯人は天罰が当たったようで。これもまあ、あんなぬるいことを、とやんなっちゃった。
あいつはね、レクター博士にでもとっつかまって、ゆっくり食われてゆくぐらいの「天罰」じゃないととてもやり切れないよ私は。