1.《ネタバレ》 オリジナル版とリメイク版が比較されるのは避けられないことです。そもそもリメイク版は最初からハンデがありますが、ハンでを考慮してもなおオリジナル版のほうが数倍良かったと感じました。
まず根本的な問題ですが、アビー(クロエ・グレース・モレッツ)に最も似合わない役が「影がある役」だと感じますが、本作では文字通り日向を歩けない日陰な人生を100年も背負ってきたうら若き美少女を演じています。美人の金髪ゴージャスがひっそり引越しを繰り返して100年も生きているというのはやはり無理があります。目立っちゃって仕方ないでしょうね。
また、原作から大きな改変が加えられている点も”どうなの?”って思ってしまいました。そもそも原作では少女でも少年でも人間でもない者として描かれていますが、本作のアビーは明らかに美少女なのです。100歩譲って美少女で良しとしても、もう少し大人しい雰囲気の女性(例えばジェニファー・ローレンスなど)をキャスティングしていただきたかったところです。あと気になったのがオーウェン(コディ・スミット=マクフィー)の終始思春期のエロ目線であった点です。この感覚で二人がくっついてもすぐに別れることが想像できてしまいます。オリジナル版や原作では男女の枠を超えた孤独な二人だったからこそ、くっつく意味があったのですが本作にはその辺の理由付けが安直かつ希薄だった点が気になりました。
見る人の好みや価値観の問題もありますが、いちいち判りやすいのが「モールス」、情緒的で感慨深いのがオリジナル版(ぼくのエリ)だと感じました。私はオリジナル版のほうが断然好きでした。