1.《ネタバレ》 第九室長の人は何やらものすごく深刻ぶってるけど、結局親友の脳を覗いて描かれた事は、主人公や恋人の知っていたことと然程変わらず、なんであんなにダメージを負っているのかわからない。
警察関係者なら犯罪者に逆恨みされる事なんて、(物語の中で)よくあることだろうし、異常性格者なら当て付けのようにして自殺されることもあるだろう。そんなこと秘密にしておくなよというようなことで深刻ぶりすぎだ。しかも自分の命を犠牲にしてまでそれを守ろうとした松坂桃李くんは、つまりこの犯罪者の一連の行為が友人の責任だと思っていたという事で、もう全然ダメ。
そんな事よりも、究極のプライバシーであるはずの、他人の記憶を読み取ることが出来るというテクノロジーに対して、当然巻き起こるはず数々の懸念や問題について物語が語らず、便利な道具として使用されるだけで本筋はサイコパスの捜査である。それならそれで、そっち側の深淵な闇を解き明かしてくれるのかと思ったら、そっちは意味もわからず「サイコパスだから」という事でどんどん事象だけ進む。犯人の幼なじみは何故殺されたのかサッパリわからないのだが、サイコパスってそういうものだとこの物語の登場人物は納得しているのだろうか。
先の異常犯罪者と女の犯人が、同一の記憶に存在しているというだけで「繋がった!」と喜んじゃう単純な犯罪捜査者には、心を解き明かす可能性のある記憶のテクノロジーはもったいなさ過ぎである。