1.《ネタバレ》 思っていたのと違う映画。そんなものはごまんとあるし、いまさらそんな下らないことは言わない。その代わりに言わせて欲しい、良く出来たと錯覚をさせられる映画がこの世にはごまんとあると。なぜ錯覚してしまうのか?一つ、斬新なアイデア。一つ、スタイリッシュな映像。一つ、体当たりな役者の演技。他にもあるかもしれないが、だいたいこの三つがうまく機能さえしていれば、よ~く出来た映画に見られる可能性はグーンとアップするでしょう。この「スイスアーミーマン」は、この三つの要素が非常にうまく相乗効果をもたらし、たいして中身のない内容を、さも哲学的に表現したかのように思わせ、さも崇高で気品に満ちたかのように偉そうにし、この作品の良さが分からない奴はアホだ!とでも言いたげなほど、観客にマインドコントロールをしかけてくる。よくよく考えてみてください。とことんギャグにしてしまうと死者への冒涜にもなりかねない。主人公の妄想か、はたまた本当に生き返ったのか分からないがとにかく会話をさせ人格を持たせることで、各団体からのクレームを回避。最終的には死者を海へと旅立たせ、生命の源へ帰還したイメージ作り。ハッキリ言ってヘドが出る。だったら作んなって!しゃべらさず、徹底的に死体をギミックとして使い、サバイバルを乗り切るくらいのバカ映画のほうが、どれだけ清々しかったことか。ゴマすり洗脳映画なんか観たくなかったよ。
作品に対する感じ方は十人十色。耳にどれだけタコが出来たか分からないほど聞く言葉。わたしのこの主張も、そのうちの一人一色でしかありません。あしからず・・・。