1.なんと確信犯的なメロドラマなのであろうか。と思わず感動すらしてしまうほど、ものすごいメロ度に驚いてしまった。21世紀の今日、人類が火星を探索しようというこの時代に、ここまで徹底的にメロドラマをやろうと思った心意気が凄い。ヒロインのアップに覆いかぶさるむせかえるようなBGM、どこを切っても印象派な花とか庭とかレンガとかいった美しすぎるものの数々。もちろん一度ぐらいここまで徹底的に貴婦人なジュリアン・ムーアも見てみたいぞという密かな欲求は腹いっぱい満たされるのであるが、あいにく最近ちょっと骨のある作品に当たってしまっていた私にはいくらなんでも薄べったいぞ。だいたいこれ、男優がシドニー・ポワチエじゃなきゃ成立しないだろう。気持ちはわかるし、かつてたくさんあったこの手の映画は決して嫌いじゃないのだが、悲恋仕立てにするためにわざわざとってつけたような人種差別や解放されない時代のゲイとか女性とか、こういうものを描くんだったら美しさのオブラート以外にもっと価値ある手法はいくらでもあるだろう。オマージュとして、これがやってみたいんだぁ~という強烈な情熱は感じるんだけど、同じやるなら「デスペラード」ぐらいやらないと。笑いが取れるほどではないので残念ながら個人的にはこれはスルー。まあ、ジュリアン・ムーアは映画界の至宝であるという個人的な価値観から3点献上。たぶんもう見ないと思うけど。そういえばジュリアン・ムーアって昼メロ出身よね。現場は案外、げらげら笑いながらやってるんじゃないかという気がちょっぴりした。これってネタでしょ? 勝手ながら邦題マッチング評価と音楽評価は[笑]の10点です。